Angel Beats! 第12話「Knockin' on heaven's door」

ラス前だけあって、いよいよ力を入れてきました。校庭一杯にうごめく影。屋上から飛び降りる奏(羽根つき)は本当に天使のようで、ビジュアル的にも美しかったです。校庭から校舎へと移りつつ、影を撃退するメンバー達。ゲーム的といいますか、やっぱりICOを思い出しました。なんでも麻枝さんもICOが好きだそうで、納得。


影に襲われたゆりが見る光景は幻想か、それとも「生まれ変わってありうる世界」なのか。この平凡ながらも幸せそうな学園生活を受け入れてしまったら、NPCになってしまうということなのでしょうか。しかしゆりは、それはもう自分の人生ではないと否定するのでした。ところで、彼女は中村って呼ばれてましたね。この名字の普通感は意図的なものなんでしょう。


そしてついに「敵地」にたどり着いたゆりの前に、誰が現れるかと思いきや、知らない人でした。まあ、ここで竹山とかが出て来るよりも良かったですよね。彼もまたプログラムされた存在に過ぎないといいますが、淡々と、世界のありようを語るのでした。立ち位置的に、マンガ版ナウシカヒドラを思い出しましたよ。


で、正直、ここの説明は分かりにくいです。一度じゃ理解不能だったので、見直しが必要でした。「満足して死んだものが記憶喪失でこの世界に来ると、愛がもたらされる」→「愛があるとこの世界は楽園になってしまうが、それは不適当である」→「だから影を生み出して排除するプログラムを作成した」。そしてプログラマー本人もNPCと化して、奇跡的な再会をいつまでも待っている……。う〜ん、切ないような意味不明なような。


「神」への道を放棄して、コンピュータを破壊するゆり。それにより、「妹弟を守れなかった」という自責の念が、「メンバーを守れた」という思いに転化していきます。妹弟からのいたわりの言葉は現実ではないにしても、ゆりの心が開放された証なのでしょう。


ED後、ゆりは目を覚まします。「まさか『目が覚めたら現実世界でした』なんてことは無いよな」、と一瞬思わせておいて、いつもの保健室というのは上手い見せ方だったかと。まだ彼女には思い残したことがある、ということなんでしょう。


最終的な感想は次回以降ということになりますが、どうも、「評価が難しい」という印象がつきまとっています。たとえば前回の感想で書いた「パソコンのソフトで世界が変えられる不思議」については今回始めてゆりが言及しましたが、もうちょっと早く、その不気味さを浮き立たせておいても良かったかなと。そして、ゆりのメンバーに対する愛情も、過去の流れからするとやや唐突でした。そういった一つ一つの作りが、もったいない気がするんですよね。