「STEINS;GATE」プレイ日記

「境界面上のシュタインズゲート」まで全ルートを終了。


しばらくぶりですが、STEINS;GATEクリアしました。評判だけあって面白かったです。EVER17Remember11の流れで楽しめましたよ。ただ、名作と言い切るにはちょっと引っかかる部分もあるのですが……。以下、ネタバレ全開で感想です。






<シナリオ>
○鈴羽ルート
以前少し感想を書いたのですが、全ルートを見てから振り返ると、一番先行きが不透明なラストなのですね。果たして二人は無事に記憶を保ったまま1975年にたどり着けるのか。たどり着いたとしても未来を変えることが出来るのか。その後が気になります。



○フェイリスルート
Dメールによって、(なぜか)幼なじみであるまゆりとの関係すら消えてしまったルート。結果としてまゆりは助かることになりますが、はて、この世界ではSERNの支配はどうなるんでしたっけ? どうもその辺の設定が頭に残ってません。フェイリス側からしてみると、いきなり記憶を失ってゲームも弱くなってしまった恋人には驚愕でしょうが、それでもきっちり受け入れようとするその度量。さすが、ただの猫耳メイドではないですね。



○ルカルート
唯一、まゆりの死を受け入れて(あきらめて)先に進むエンド。通常人間には過去に戻る能力も世界を変える力も無いのですから、ある意味一番現実的な選択だったともいえます。また、岡部以外にルカがタイムリープを果たしているという点でも異色のルートでした。



○まゆり・紅莉栖ルート
基本一緒なのでまとめて。紅莉栖ルートというからにはまゆりじゃなく紅莉栖を選ぶかと思ったのですが、そういうルートは無いのですね。見たかった気もしますが、紅莉栖の性格上、成り立ちませんか。ソーイングセットは名シーン。ところで、まゆりルートでは、まゆりが紅莉栖を引き止めるシーンがありますが、紅莉栖ルートだとカットでしたね。もう紅莉栖が行ってしまったあとで、しょうがないと思ったのでしょうか。



○トゥルーエンド
選択肢が無く、メールで分岐する今作のシステムは、斬新かもしれませんが、非常に分かりづらいと思いました。攻略サイト抜きでは一生行けなかった気がしますよ。スタッフロールが流れ出し、「あれ、変わらないぞ?」と思っていたところで、鈴羽からの電話が入って逆周り。この演出は面白かったです。紅莉栖の父親が中鉢だったのにも驚き。ただのギャグキャラかと思っていたのに上手いですね。


最後の紅莉栖との再会。そして彼女の言葉に感動……ではあるんですが、そうは言っても3週間の記憶が無いのは確かなので、やっぱり寂しいなあ……。それと、このルートを見ると、まゆりと紅莉栖のルート後に第三次世界大戦が起こってしまうというのが判明するのが悲しいです。結局両ルートでも、エンディング後に鈴羽が来ることになるんでしょうか?



<絵>
独特の絵柄。特に目の書き方がグルグルというのはすごい。それでいて、プレイ時にまったく気にならないというのはもっとすごい。背景も秋葉原ではあるんですが、どこか暗めで、けれど鬱陶しくはないレベルの渋さがありますね。



<音楽>
おなじみ阿保剛さんです。阿保さんの音楽聴くのも何作目になるかな。個人的にはいつも、「OPのメインテーマは印象的。ゲーム中のBGMは耳に残らない」という評価なのですが、多分、メインテーマ以外の曲は、あえてメロディーよりも背景に徹した作りにしているのでしょう。しかし、メインテーマの「GATE OF STEINER」は本当にインパクト十分の曲。これだけでもう「今作は面白いに違いない」という確信すらプレイヤーに与えてくれます。



<キャラクター>
みんな魅力的でしたが、結局のところ紅莉栖に尽きますね。紅莉栖については逆に、いまさら語ることがないです。


オカリンは、最初は変なやつと言うしかないキャラでしたが、そこから次第に変わったり、でもやっぱり最後までマッドサイエンティストチックだったりと、まあとにかく頑張ってくれました。ダルは、作中通じてオカリンの右腕にして信頼できるスーパーハカーでいてくれました。


まゆり。悲劇のヒロインですが、ほとんどの状況において、自分に降りかかる悲劇を知らない部外者的立場になっちゃったのはかわいそうだったかも。もう少し彼女が主体的に立ち向かうルートがあっても面白かったかもしれません。


鈴羽。どのルートでも最後まで生きていることはかなわず……。いや、これから生まれてくると言われればそれまでですが。鈴羽ルートで、オカリンの消耗を見抜いたのはお手柄でした。誤解を解いたあとも紅莉栖と仲が悪いのは、単に性質が合わないからでしょうか。オカリン主観ではカットされたお茶会の様子を見たいものです。


フェイリス。性格・スペックともに実は最強ヒロインかも。フェイリス・ニャンニャンとしての仮面が強くて、秋葉留未穂としての素の部分が薄れがちだったのはやや惜しまれます。というより、留未穂としても強いのには変わりないですし。


ルカ。男の子でも女の子でも健気で可愛い子。それ以外にはこれといって……。出番も少なめでしたしね。



<総評>
大好評との話を聞いて、Windows版を購入。その甲斐は十分にあった良作でした。ただ、冒頭にも書いたのですが、どうしてもいくつか引っかかってしまうことがあって、やや評価を辛くしてしまっています。要するに、


「過去を変えるってことは、そこにいる人を殺すようなもんじゃないの?」


という点。岡部はまゆりや紅莉栖を救おうと何度もタイムリープを繰り返します(「タイムリープは記憶のコピーであるはずなのに、なぜ主観が飛ぶのか」というのも疑問なんですが)。でも、そのたびに世界が「無かったこと」にされ、それまで数日間の人の記憶は消し去られてしまう。一応「岡部以外にも薄いリーディングシュタイナー能力がある」ということで多少のフォローは入ってますが、それでも大惨事です。


岡部の独断で背負い、実行するならまだしも、不思議なのは周囲の人がそれを認めてること。紅莉栖がもう一度過去に飛ぶように指示したり、ラストでまゆりとダルが岡部がキーを押すのを見守っていたり。紅莉栖が「私の主観ではどうなる?」と尋ねてましたが、僕もそこが気になってしょうがないです。


僕だったら、「このボタンを押せば、もっと良い世界に行ける。ただし、今の記憶は無くなる」なんて言われたら断固拒否しますけどね。少なくとも、怖くてたまらないはずです。何でみんな平気な顔をしているんでしょうか。ラスト、必死に紅莉栖の「消滅」を避けようとする岡部ですが、今まで何度も紅莉栖を消してきたじゃないか、という感が残ってしまいました。


あと、この手の作品では仕方ないと思うのですが、やはりタイムパラドックスを深く考え出すと厳しいかと。色々考察サイトもあるようですが、根本的に無理があるような気がします。もちろん、そこは勢いで面白ければOKではあるのですが。


今作的には他世界解釈を否定して、再構成のほうを押しているみたいですが、個人的には他世界解釈もありのような気がしてます。じゃないとα世界線の紅莉栖が浮かばれなさ過ぎるので。……まあ、それはそれで訳分からなくなるんですけどね。


キャラ的にも構成的にも、かなり二次創作が面白く出来そうな作品なので、色々探してみたいです。驚いたことにアニメ化までされるようで、こちらも楽しみ。ただ、1クールでは絶対に無理。最低でも2クール無いとどうしようもないでしょうね。