「ラストゲーム」祝・完結(遅い)

ラストゲーム 11 (花とゆめCOMICS)

ラストゲーム 11 (花とゆめCOMICS)

久々に見たら完結してるじゃないですか。あわてて読みました。この作品については以前一度感想を書いてますが、好きなんですよ。


で、最終巻。良いハッピーエンドでしたねえ。いや、本作がハッピーエンドになるのは誰がどう考えても明らかなのでネタバレにもならないと思うのですが、それでも良い。


柳尚人と九条美琴。もう事実上両思いだったことは明らかなんですが、これ以上こじれずに上手いこといって良かった。真面目なところもありつつ深刻にしすぎないのが本作の長所。作者さんも欄外で書いていますが、これは担当さんの力によるところも大きいのでしょうか。


最後は「ゲーム」にこだわらず柳の方から告白するのかなとも思いましたが、やや意外にも美琴からの告白とはね。柳くん大勝利でした(10年かかりましたが)。美琴の照れた笑顔が素晴らしいよお。頑張った甲斐がありましたなあ。もっとも、デレ期が短くて嘆いていた柳でしたが。いや、美琴は表情になかなか出ないだけで心の中では柳のことを大好きで大切に思っているんですよ。きっと、多分。


大団円の結婚式。柳は美琴に新たな「ゲーム」を提示するのでした。美琴を幸せにできたら勝ちかあ。正直、もしかしたら今作最大の問題は「ラストゲーム」というタイトルが無意味になってきていることかもしれないと思っていたんですが(最初は読み切りの予定だったのでしょうがないとは言え)、それすら最後に料理してくるとはねえ。恐れ入りました。末永くお幸せに。


以前にも書いたことですが、少女マンガでありつつも少年マンガ的な魅力もあり、老若男女楽しめるであろう傑作。そもそも少女マンガのラブコメで男子が主人公というのも珍しいですかね。柳の性格が味があってよかったです。他のキャラも悪い人がいなくてほのぼのでした。桃香様は苦労しそうですが……。


それにしても、良い作品を読み終わると、感無量とともにお別れが寂しいです。これ、アニメ化したら人気出ると思うんですけど、どうでしょうかねえ。現段階で話を聞かないってことは見込み薄なんでしょうが、密かに期待してしまいます。

疾風怒濤の12連勝

西武26年ぶり12連勝!雄星8回1失点、左腕最速158キロも出た(スポニチ)


昨日、難敵則本を攻略。さらに岸が出てこず安楽になった時点である程度この結果は期待していましたが、それでも何が起こるのかわからないのが野球。雄星が変にプレッシャーを感じて乱れてしまったらどうしようかという一抹の不安はありました。


しかし、そんな心配も杞憂。雄星はまさにエースらしい快刀乱麻のピッチングで楽天打線をねじ伏せ、8回11奪三振の1失点。自己最速にしてNPB左腕最速記録となる158キロまでマークしました。今年の西武ドームは球速表示が甘めとは言え、素晴らしい速球です。ちなみに、これまでも一応「最速左腕」とは言われていましたが、ソフトバンクの川原がウエスタンで158キロを出していたので、「一軍では」という面倒な枕詞がついていたんですよね。晴れてその説明も不要になりそうです(といっても、まだ「タイ記録」ではありますが)。なお、川原は故障と制球難に苦しんでいるようで……。ライバル球団とはいえ、せっかく好素材なので頑張ってもらいたいところではあります。


今日の平均球速は151.4キロ。空振り率は9.4%でした。もうこのくらいの数字が当たり前になってきているのがすごい。球速的には、やはり8回にはちょっと疲れが出ていましたかねえ。こんな雄星を8年間待っていました。今年は嬉しい(ソフトバンク戦は除く)。


さて、4球団連続3タテで12連勝。26年ぶりだそうで、さすがに前回のは覚えていませんが、これだけ勝つと希望が見えてきます。しかし、それもこれもソフトバンク戦に勝ってこそ。まずは明日です。もし野上-千賀だと最初から負け覚悟でしたが、寺原ならいけるかもしれない。面白くなってきました。

「魔法少女リリカルなのは Reflection」

http://www.nanoha.com/


さて、久々のなのはです。ちょっと迷ったんですよね。今回は監督も違いますし、なのは達もいまさらのように小学生に戻るようですし、迷走していやしないか、大丈夫かなと。それでも、考えてみれば僕も結構これまでなのはファンやってきましたし、一週間様子を見て評判もそれほど悪くないようなので行ってまいりました。音楽の中條美沙さんは続投なので安心。佐野広明さんはどうされてるんでしょう……。


どうもゲーム版のキャラや設定を一部持ってきているようですが、そちらは未プレイ。舞台時系列的にはA'sのあと数ヶ月というところのようで、魔法少女たちもいつも大きな戦いに巻き込まれて大変だなあと思ってしまうわけです。もうちょっとゆっくりさせてあげたい。というか、別に1年くらい飛ばして小学6年生にしちゃっても良かったんでないの、と思ったり。まあ、ゲーム版との整合性の絡みで難しいのかもしれませんが。SAOのオーディナル・スケールマザーズ・ロザリオからたった2週間後の話らしいので、主人公は忙しいものですなあ……。


以下、微妙にネタバレしつつ。


ストーリー的には、キリエとアミティエの姉妹ゲンカに巻き込まれている感はありましたが、全体的にはしっかりと「なのは」でありました。考えてみれば、なのはは久々でも、この都築節は割と最近「ViVid Strike!」で見てましたっけねえ。キリエが家族のために無理をして悪役になってしまうのはシリーズのお約束的な部分がありますが、果たして彼女たちはこれからどうなってしまうのか。2部作なので後編をお楽しみに、と。


細かい点では、アリサとすずかの登場は嬉しかったですね。だいたい、アリサとすずかは本来、なのはの親友ポジションであるのに、すっかりフェイトやはやてにその座を取られてしまって寂しい話なのです。でも、少なくとも都築さんに忘れられてなくて良かったなあと。少々驚きだったのは、2人の両親まで割としっかり出てきてたことで、リンディも含めた母親組の交流は新鮮でしたね。もっとも、両親たちも割とフェイトの養子の話や魔法の話を受け入れているあたり、いったいどこまで魔法関連の話を秘匿しているのであろうかという疑問は生まれてしまいましたが……。


全体的にはバトル成分多めの出来でしたが、派手だった反面、単純な力押し&バインドたくさんという感じで、少々パターン不足が気になりました。あと、魔法攻撃はいまいち威力がわかりにくいというのも否めません。まあそこはいまさらなのでしょうがないか……。


それと、やっぱりキャラが多いと。これはstrikersでも言えたことでしたが「味方が多い」→「敵も多くしないと」。ということで2倍に増えてしまう。難しいものです。「王様」のディアーチェたちは本来原作ゲームのキャラだったようですが、今作の範囲では、イリスにぽっと呼び出されて戦っているだけという感じで、キャラにあまり魅力を感じませんでしたねえ。後編では挽回がありますでしょうか。


最後になりますが、結局「なのははヒーロー!」ということで。僕がなのはシリーズで少々引っかかってきたのは、なのはが強すぎ、立派すぎというところだったんですが、今作のラストを見ると、もうそれでいいや、という気分にもなりました。彼女はすごい魔法でみんなを助けてくれるお姫様なんです。


……ま、アリサの前では少し年相応の表情も見せてましたけどね。こうしてスクリーンやテレビの前に映るとき以外の彼女は、そうした表情も多いと良いなあ、と結局思ってしまいます。


映画の点数にすれば75点くらいでしょうか。普通に楽しめましたし、後編も見にいくでしょうけど、1作目2作目の高い完成度に比べるとやっぱり点は落ちてしまいますねえ。個人的には、なのは達が15歳くらいの時のエピソードをお願いしたいのですが。

「ハクソー・リッジ」

http://hacksawridge.jp/


沖縄戦を舞台にした力作らしいからそのうち観にいこうかな」と思っていたら危うく上映期間が終了しそうなところでした。危ない危ない。やってる本数も少ないし、そこまで大人気というわけでもないんですかね。戦場の描写がハードらしいという話も聞いたのでちょっと躊躇しましたが、迷ったらゴーということで行ってきましたが、それが正解でした。以下ネタバレ込みの感想です。


デズモンド・ドスという異色の衛生兵の活躍を描いた物語。デズモンドは信仰上の理由から人は殺せない、それどころか銃に触れることすらしないという信念の持ち主で、当然のごとく軍では異端視されます。半ば強制的に除隊を迫られ、軍法会議にもかけられることにもなるデズモンドでした。


ここで面白いというか、普通の映画と違うところは、観客の方からしても「そりゃそうでしょ」と思ってしまうところで、一般常識的に見れば、理不尽なのは軍よりもデズモンドなんですよね。いや、銃に触れないなら何も軍に志願しないでも本土の工場で働いていれば良いじゃないかと。しかし、デズモンドは信念を曲げずに自分のあり方を貫こうとします。


そして迎えた沖縄戦ハクソー・リッジというのは沖縄にある高地のことらしいですが、日本軍必死の反撃の前に、米軍は苦戦を強いられます。その、死と隣り合わせの轟音と恐怖の中で、デズモンドは一人、もう一人と負傷した戦友たちを救っていきます。かつて彼の態度に怒り、また呆れた人々も、デズモンドの英雄的な働きを認め、讃えるのでした。


いやあ、これが実話だというからすごい話ではありますが、とにかくデズモンドの個性的な行動をどう受け止めるか。そこが一つのポイントですかね。いや、もちろん彼の成し遂げたことは立派ですし、何しろこの映画自体がデズモンドを肯定しています。僕も別にそれを否定するつもりはないのですが、ただ、彼が讃えられたのは結果を出したからだよなあ、とも思えるわけで。それがなければ最後までただの変わり者で終わったかもしれません。


信念は大事というだけではなく、言うからには結果を出さねばならないということでしょうかねえ。いやそれとも、たとえ周囲から認められなくても、結果が出なくても、自らの心に沿って行動することこそが大事という見方もできましょうか。ふむぅ……。


メル・ギブソン監督については詳しく知りませんが、逆に言えば、そんな僕でも名前程度は知っていました。キリスト教の信仰心がテーマに強く現れる監督だとか。今作も、デズモンドの信念と行動自体が信仰心によるものでしたから、ピッタリの題材とも言えます。舞台こそ戦争ですが、その上で描かれたのは信仰の生み出す強さとある種の奇跡でした。デズモンドが頭から水をかぶるシーンとか、天に上るかのようなラストシーンとか、あきらかに聖書からのモチーフですしね(一瞬、ラストはデズモンド死んでしまったのかと思いましたよ)。


僕は強い信仰心というのはどうにもピンときませんが、それが時に普通の人間を超えた強さを生み出すというのは間違いないのでしょう。


さて、物語以外の要素について触れると、たしかに戦場の描写は大迫力でした。ひっきりなしの銃声、爆発音、そしてあっという間に積み重ねられる死。そこには理屈も何も通らない圧倒的な暴力があり、だからこそ戦争は恐ろしい悪だと感じさせられます。


そして、「敵」となった日本兵ですが、どうしても米軍視点ではやられ役になってしまうのは致し方のないところで、日本人観客としては少々居心地が悪いところ。ただ、日本兵を恐ろしい存在としては扱っていても、悪であるとは描いていません。戦争なので、ただそこに必死な敵がいる。それ以上でもそれ以下でもない描写と感じました。まあ、本作はデズモンドが仲間を救う話であり、バッタバッタと日本兵をやっつける話ではありませんのでね。あえて言えば、日本兵の会話の調子に多少不自然さを感じないでもなかったですが、これも些細なレベルではありましょう。


それにしても、この前見た「沈黙」と同じくアンドリュー・ガーフィールドさんが主役とは。どちらも強い信仰心を抱え、それゆえに周囲との摩擦に苦しむという役柄。奇遇なのかなんなのか。本人に2作の比較なんかを聞いたら面白そうだなと思います。

森慎二はかっこよかった

さっそうと長髪をたなびかせ、ダイナミックに足を上げたフォーム。長身から投げ下ろす150キロのストレートと宝刀フォークボールで三振の山を築く。威風堂々。華のある選手でした。


社会人から96年ドラフト2位。即戦力として期待されるものの、97年前半は先発で結果を残せず、終盤リリーフに回ったことでブレイク。その年不在だったクローザーの座をつかみ、優勝に貢献しました。98、99年は制球に苦しみ、起用法も定まらない停滞期。しかし、00年は守護神として再ブレイクして23セーブを挙げる活躍。01年がまた不調だったものの、02年にはその年から抑えに回った豊田の前で投げる8回の男に。森・豊田ラインは圧倒的な安定感を誇り、他球団の心胆を寒からしめました。


ただ惜しむらくは、このコンビの絶頂期がわずか2年間で終わってしまったことで、僕が当時の伊原監督をいまいち評価できないのは、森と豊田をむやみに使い潰してしまった感が残るからです。特に森は2年間で131試合に登板。02年は独走シーズンだったので、もっと起用を節約できたはずと、いまだに思えてなりません。


05年にポスティングでメジャー挑戦。全盛期を過ぎた感があったのでどうかな、というのが正直なところでしたが、まさかオープン戦初登板で、結果的に選手生命を終わらせる怪我を負ってしまうことになろうとは。さぞ無念だったことでしょう。


その後、独立リーグの指導者を経てライオンズのコーチに。どこまでが森の功績かはなかなかわかりませんが、長年崩壊していたライオンズブルペンの復調に、彼の力も大きかったのでしょう。土肥コーチとともに、二人三脚で今後のライオンズ投手陣を支えてくれると思っていたのですが……。


西武・森慎二投手コーチ死去 42歳…辻監督「ショックです」(スポニチ)


あまりにも突然でした。まだ若い、若すぎるし急すぎる。信じられないというか、言葉も出ません。ただただご冥福をお祈りするばかりです。メジャー挑戦のときといい、野球の神様は森に意地が悪すぎるよ……。


心情的な悲しさはもちろん、指導者能力的にも大きな損失となってしまいそうな気がします。緊急で西口が上がりましたが、西口のコーチ能力はまだ未知数ですし、どうなることか。ただ、森が草葉の陰でハラハラしないように、投手陣には一層奮起してほしい。そして、森コーチから得た知識と技術を磨いて、将来はさらに若手に受け継いでもらいたい。そう願うばかりです。特に愛弟子で投球スタイルも少し似ている大石、頑張れよ。

進撃の巨人 Season 2 最終話

あっという間の1クール。進撃の巨人2期も最終話となってしまいましたが……いや〜、面白かった。原作を知っているのに結局今期アニメで一番ではないかという安定した面白さ。原作の力もさることながら、アニメならではの演出も抜群。今回も、悲愴な状況の中で、エレンに感謝の思いを告げるミカサのシーンの美しさといったら。やっぱり荒木監督は原作物をやらせると上手いなあと思うことしきりです。オリジナルは、まあ……。


巨人になれず、母親と同じようにハンネスを見送ることしかできなかったエレンの慟哭。クリスタとユミルの友情と別れ。そしてエレンに秘められた力。最終回にふさわしい密度の濃い1話でした。密度といえば、そもそも2期自体、作中時間が数日しか経ってないじゃないですか? お疲れ様です。


このままで終わってほしくない、と誰もが願ったところで3期予告。まだ来年とはいえ、これは楽しみです。というか、そもそも1期と2期の間が開きすぎなんですよねえ。そこは人気の勢い的にもったいなかった気がしますが……。ともあれ、3期も期待です。

菊池雄星と小笠原慎之介の左腕対決を堪能する

埼玉西武ライオンズ 9-1 中日ドラゴンズ


まあ、この結果だと堪能したのは西武ファンだけかもしれませんが、それでも見ごたえのある対決でした。2週間くらい前からローテを確認し、「お、中日戦は小笠原相手か」と楽しみにしていたのですよ。聞くところによると、気になっていたのはファンだけではなく、当の小笠原にも相当な思い入れがあったようで。


【中日】小笠原慎之介、進化の日々。ライバルは世界すべてのサウスポー(文春オンライン)


良いじゃないですか、このライバル意識。共に150キロストレートで甲子園をわかせた左腕投手。そしてドラフト1位。縁があります。


その小笠原。投球をじっくり見るのは初めてでしたが、やはり雄星相手ということで気合が入っていたのか、序盤は素晴らしい立ち上がり。切れの良いストレートと変化球の組み合わせが決まり、これは簡単には打てないぞという勢いでした。


下手をすると雄星も後輩左腕に足元をすくわれかねない。と、感じたところで堂上にソロ被弾。ここ数試合、大引とか田中浩康とか伏兵に一発浴び過ぎだと思うんですがね……。事故といえば事故なんですが、エースならば先制を許さないようにしていただかないと。


しかし、劣勢だったのはここまで。次の回に中村の犠牲フライで同点に追いつくと、間髪入れずメヒアの勝ち越し弾で試合の流れをぐっと挽回しました。あとは西武打線が着々と加点し、雄星も調子に乗って8回1失点10Kの好投。小笠原に球界最高左腕たるところを見せられましたね。良かった良かった。


さて、いつものごとく一球速報で平均球速を算出してみますが(それにしても、このデータ、どこかのサイトで数字出てないもんでしょうか?)、今日の雄星は149.4キロ・空振り率11.1%でした。先週が149.9キロだったので多少落ちたともいえますが、西武ドーム改めメットライフドームの今年のスピードガンはかなり甘い疑惑がありますので、実質的には先週以上の球威だったのではないかと思われます。本人も真っ直ぐが切れていたとのコメントでしたね。逆転してもらってからは圧巻の投球でした。


今回はついでに小笠原もいってみます。平均球速142.0キロ、空振り率4.5%で、雄星との差は7.4キロでした。ふむ……。でも高卒2年目ということを考えれば十分すぎるほどの投球でしょう、雄星の2年目よりも明らかに上です(雄星時間かかったしね……)。今日の試合も今後の成長の一里塚として語られるようになるのでしょうか。将来が楽しみですねえ。