森慎二はかっこよかった

さっそうと長髪をたなびかせ、ダイナミックに足を上げたフォーム。長身から投げ下ろす150キロのストレートと宝刀フォークボールで三振の山を築く。威風堂々。華のある選手でした。


社会人から96年ドラフト2位。即戦力として期待されるものの、97年前半は先発で結果を残せず、終盤リリーフに回ったことでブレイク。その年不在だったクローザーの座をつかみ、優勝に貢献しました。98、99年は制球に苦しみ、起用法も定まらない停滞期。しかし、00年は守護神として再ブレイクして23セーブを挙げる活躍。01年がまた不調だったものの、02年にはその年から抑えに回った豊田の前で投げる8回の男に。森・豊田ラインは圧倒的な安定感を誇り、他球団の心胆を寒からしめました。


ただ惜しむらくは、このコンビの絶頂期がわずか2年間で終わってしまったことで、僕が当時の伊原監督をいまいち評価できないのは、森と豊田をむやみに使い潰してしまった感が残るからです。特に森は2年間で131試合に登板。02年は独走シーズンだったので、もっと起用を節約できたはずと、いまだに思えてなりません。


05年にポスティングでメジャー挑戦。全盛期を過ぎた感があったのでどうかな、というのが正直なところでしたが、まさかオープン戦初登板で、結果的に選手生命を終わらせる怪我を負ってしまうことになろうとは。さぞ無念だったことでしょう。


その後、独立リーグの指導者を経てライオンズのコーチに。どこまでが森の功績かはなかなかわかりませんが、長年崩壊していたライオンズブルペンの復調に、彼の力も大きかったのでしょう。土肥コーチとともに、二人三脚で今後のライオンズ投手陣を支えてくれると思っていたのですが……。


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あまりにも突然でした。まだ若い、若すぎるし急すぎる。信じられないというか、言葉も出ません。ただただご冥福をお祈りするばかりです。メジャー挑戦のときといい、野球の神様は森に意地が悪すぎるよ……。


心情的な悲しさはもちろん、指導者能力的にも大きな損失となってしまいそうな気がします。緊急で西口が上がりましたが、西口のコーチ能力はまだ未知数ですし、どうなることか。ただ、森が草葉の陰でハラハラしないように、投手陣には一層奮起してほしい。そして、森コーチから得た知識と技術を磨いて、将来はさらに若手に受け継いでもらいたい。そう願うばかりです。特に愛弟子で投球スタイルも少し似ている大石、頑張れよ。