機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第25話「鉄華団」

一つの旅の終わり。


ミカヅキとアイン、そしてマクギリスとガエリオが最後の戦いを繰り広げた最終話。一番印象に残ったのは主人公のミカヅキではなく、ガエリオの叫びでした。彼は多少エリート主義的なところはありましたが、それでも心優しく、真っ直ぐな青年だった。アインを、カルタを、マクギリスを大切な友人と信じて生きてきた男だっただけに、マクギリスの言葉はどこまでも冷たく突き刺さったことでしょうねえ。せめて逃げ延びてもらいたかったのですが、それもかなわず。嗚呼。


マクギリスがガエリオを友人と思っていたことは事実であり、アルミリアの幸せを約束したのも本心なのでしょうが、果たして仮面を被った(物理的にも被ってましたが、心情的にね)彼のもとで真にギャラルホルンの改革ができるのでしょうか。まだ行く先は長そうです。


話を戻して。ミカヅキが戦っている間に、ついに議事堂に到着した蒔苗たち。そこで演説を行うクーデリア。ここでちゃんと議員たちに聞いてもらえるのが、彼女のカリスマ性なんだろうなと思います。蒔苗の後見もあるとはいえ、言っていることがレベル低かったら「何だこの小娘は」で終わっちゃうところですからね。クーデリアが口先だけではなく、旅の途中で見てきたことが血肉になった主張だったからこそ、議員たちに届いた。そういうことだと思います。


多大な犠牲を払いながらも勝利した鉄華団。シノやアジー、ラフタが生存していたのはちょっと甘いとはいえ良かった良かった。さあ、火星に帰ろうと言うところで一幕の終了となるのでした。


長井監督と岡田脚本でどんなガンダムが見られるかと注目していた本作ですが、予想以上に硬派な出来栄えで見応えがありました。モビルスーツの戦闘も十分に面白かったですが、それ以上にキャラのドラマが深く描かれていましたね。それに、以前も書いたように「ビームでズギャーンと爆発」ではなく、あくまで実体弾と打撃武器で戦う重みも素晴らしかった。主人公のミカヅキが、かなり突き抜けた性格で感情移入は難しいタイプでしたが、その分オルガとクーデリアが真の主人公だったのかなと。クーデリアは最初に出てきた時、現実を知らないお嬢様みたいなステロタイプな描き方だったらやだなあ、なんて思ったものでしたが、全然そんなことなかったですね。


「もちろんこれで終わりじゃないんでしょ」という期待に答え、秋の2期が発表! 嬉しい反面、今作の厳しい空気的に、全滅エンドとかなっちゃいそうで今から怖い。いや、そんな変な予想もバシッと折ってくれると思っておきましょう。