「太陽の簒奪者」(野尻抱介) ★★★☆ ISBN:4152084111

西暦2006年、突如として水星が異変を起こし、太陽の周囲にリングを生み出してゆく。明らかに自然現象とは異なるその作業は、いったい誰が何のために起こしたのだろうか。…というのはほとんど裏表紙の紹介文から取ってしまっているのですが、実にストレートなファーストコンタクトもののSFです。次第に構造物に迫り、解析し、危機回避に尽力する主人公達。その真面目な進み方は「宇宙のランデブー」を思い起こさせますねえ、と思ったら実際裏表紙にも「クラーク的叙述」などと評されていました。そういえば「幼年期の終わり」も入っているかもしれません。僕もSF蓄積がそうたくさんあるわけではないので連想甘いかもしれませんが…。もっとも、どうも地味で不完全燃焼的感を受けた「宇宙のランデブー」に対して、こちらはもうちょっと派手できっちり終わってくれていると思います。すごく面白い、までは言えないものの、十分面白い、というところでした。
この作品、何でも星雲賞を受賞したとか。過去の受賞作品を見てみると、色々すごいのがありますね。ガンパレはともかくカードキャプターさくらがSFというのは相当無理がありますが、面白ければありということでしたら、それはそれで潔い気もします。


ところで、個人的にはやはり野尻抱介さんと言えば「ロケットガール」シリーズなのですが、どうでしょう。富士見ファンタジア文庫より全3巻。あまり知られていない感があるんですがこれは面白いですよ。良質のSFとキャラ萌えがきっちり両立した一品です。アニメ化とかされませんかねえ…。ストラトスフォーがあったので被っちゃいますか。おそらくストラトスフォーロケットガールに影響受けているのだと思うのですけど。