機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第50話「彼等の居場所」

さて、忙しくてなかなか新アニメも見られませんが、それでも今作の最終回には触れておかねばならないでしょう。


ギャラルホルンの猛攻撃の前に、奮闘するミカヅキ、そして昭弘もついに倒れるのでした。それでも、彼らが稼いだ時間を受けて、鉄華団の多くの団員が脱出に成功します。一方、勝利したラスタルギャラルホルンの改革を実行し、結果的に火星の独立も実現するのでした。


クーデリアはかつての鉄華団のメンバーを雇いつつ、ギャラルホルンヒューマンデブリ廃止条約を締結。アトラやアカツキと平和な時間を過ごしつつも、戦い、散っていったミカヅキのことを思い起こすのでした。


最終回の落とし所としては基本良かったとは思います。全滅ではなく、なんとか多くの団員が生き残り、未来のために働いているエンド。個人的にはマクギリスが最後まで鉄華団と敵対せず、ラスボスにならなかったのが意外な展開でした。それに、ラスタル様が驚くほどの大勝利。ギャラルホルンの改革と言っても、自分が代表に収まってますしね。


さてしかし。この物語を全体でみると、結局なんだったかというのが結構難しいところ。鉄華団はただ、少年たちが暴れて成り上がろうとしたものの、大人に利用されて潰されただけの存在だったのか。……「違う」と言いきれないのが悲しいところで、そりゃ間接的にはクーデリアを救ったり、マクギリスに影響を与えて反乱に繋がらせたりしましたが、直接的には世の中をどうこうできなかったわけです。


だから、このお話はやっぱり悲劇なんでしょう。言うなれば、鉄華団は反面教師として描かれたのかもしれません。たとえちょっと強大な軍事力があったとしても、優秀なリーダーと絆の深い仲間たちがいたとしても、それだけでは勝てないと(これはマクギリスも同様なので、鉄華団とマクギリスは似た者同士なのですね)。結局生き残ったのはラスタルであり、クーデリア。政治や経済での積み重ねを持っていた人たちでした。ラスタルなんて、最後に死ぬのがお約束レベルの悪役なんですけどね。キャラとしては憎めないんですが。


つまるところ、「平和な努力と学問のすすめ」が本作の言いたかったことなのでしょうか(そう言えば、クーデリアも教育を重視していました)。それとも、火星の王なんて身の丈の合わないことは求めず、適当なところで満足せよという「知足」の精神か。なかなかはっきりしません。


作品の全体評価としては、十分面白かったです。ただ、途中までは「ここ最近で一番面白いガンダム」だったのが、マクギリスの蜂起後から失速しちゃったのは否めません。4クールあったわけですから、もうちょっとなにか、うまい構成ができなかったものかと惜しい思いです。あとは主人公のミカヅキも、最後までオルガの言葉頼みの一パイロットで終わってしまった。それが悪いとも言いませんが、主人公としての彼の役割がいまいち見えにくかったかと(まあ今作の場合、鉄華団全員とクーデリアが主人公という言い方もできますが)。


最後になりますが、アルミリアには今回の悲劇を吹っ切り、幸せになってもらいたいものです。最終回出番がなかったですが、ガエリオが元気そうだったので、妹の身に変なことは起きていないものとポジティブに解釈しておきますよ。


なんにしても、従来のガンダムとはまたひと味違う、独特の魅力を持った作品でした。スタッフの皆さんお疲れ様でした。