「うたわれるもの」(Leaf)

うたわれるもの DVD版
一言。とても面白かったです。各所の評判を見て購入・プレイしたのですが、期待を裏切らない作品でした。Leafのゲームは初めてだったのですが、さすが、というところでしょうか。とにかく世界観とシナリオにはツボをつかれました。いわゆるアイヌ風の衣装(詳しくないのでうかつには書けませんが……*1)に木造建築が印象的な独特のファンタジックデザイン。群雄割拠の大地に戦乱が渦巻く緊迫感。そして主人公ハクオロの記憶の謎……。個々のエピソード一つ一つを重ね合わせて次第に大きな物語が浮かび上がってくる構図は巧く、素直に引き込まれました。キャラクター達の魅力もたっぷりです。女性キャラはもちろん男性キャラも皆、存在感がありますね。ことにハクオロは主人公にふさわしいかっこよさでした。戦略、決断力、包容力に親しみやすさを兼ね備え、多くの人に慕われるのも納得というものです。話は一応彼主体で進むとはいえ、全体的には三人称的雰囲気。プレイヤーもまた、彼を見守る配下の視点なのかもしれません。
そしてこのゲームをただのノベルとは異ならせているSLGパートですが、こちらもなかなか力の入った出来です。単体で最高とまではいきませんが、これ以上あれこれ難しくするとかえってバランス崩れてしまうでしょうしね。ちょうど良いところだと思いました。プレイしたのは高難度1。結構負けたりもしたので手ごたえありました。ただ、カーソル反応が鈍くなることがあるのは減点ですかね。
音楽と絵もレベルが高く、総じて高評価。あ、でもHシーンについてはエルルゥ以外は蛇足な感が否めず、大概スキップしました。お話的には百歩譲ってもユズハまででしょう。このつくりではハクオロが浮気者に見えてしょうがないですよ……。そんな具合ですので、コンシューマ機に移植されないのはむしろ不思議なくらい。これからなのでしょうか? もっと多くの人に触れられてよいお話だとは思います。では以下ネタバレで。

 過去風の異世界だと思っていたら実はSF未来物というのにはしてやられました。風の谷のナウシカだったのですね。エルルゥが寄せる好意にしろ、住民の獣耳にしろ、萌えのお約束とばかり思わせておいて実は伏線だったとは! オタクの先入観を逆手に取った斬新な展開、といっては褒めすぎでしょうか? あとエピソードとしてはカミュの人格変化なんかも好きです。ありがちにムツミであった自分を忘れたわけではなく、それを含めての姉のもとへの帰還。ひとつ成長した彼女の姿を見られたように思いました。
 ラストは明示されていませんが、やはり素直にハクオロが戻ってきたと思うことにしましょう。もともと死んだわけではないのですから良いのです、それで。


さて、次は難易度3での挑戦ですか……。

*1:こちらに衣装のデータベースがありました。……微妙に違う?