うたわれるもの 第26話「うたわれるもの」

ハクオロさん、どうか安らかな眠りを……。


ってことで最終回です。ここ数回の展開の速さから、ラストも駆け足にされるのではないかと少々不安だったのですがなんのその。むしろラストをしっかりと描きたいがための急ぎ足だったのだなと納得させられました。


迫力十分の2体のウィツァルネミテアの戦い。普通戦いの合間に会話を入れると間延びしてしまうものですが、それがまったくない。かっこよいです。ハクオロが完全に過去の記憶を取り戻すシーンもハイレベルな出来。ミコトと赤ちゃんのかわいらしさがあっただけに、あの科学者に対して本気で怒りを覚えました。ハクオロが我を忘れるのも当然です。まったくむごい。ムツミがなぜハクオロを「お父様」と呼ぶのかは判然としないままでしたが、この程度省略があったほうがスピード感が出るのかも。


原作でもそうでしたが、ハクオロと皆の別れの会話はもう涙ものとしか言いようがなく。特に最後、エルルゥのときだけ切り離されて2人きりになったのも、キスシーンで締めたのもすごく良かったですね。惜しむらくは音楽。「運命」か「永久に」を使ってほしかったなあ。


エピローグ、ドリィ&グラァの「はい、勝手にします!」は妙に印象に残る名セリフです。しかし、何の前触れもなくユズハが亡くなってしまっているのはさすがに可哀想なような。ここばかりは尺の都合としか言いようがございませんねえ。エルルゥの笑顔が、願わくば幸せな未来につながりますように。




振り返ってみて、アニメ版うたわれるもの、原作ファンも新規ファンも十分に楽しめた良作だったと思います。美少女ゲーム原作アニメの中ではAIRに次ぐ評価ではないでしょうか。もっともこちらは、SFファンタジー混交和風戦記として、物語のタイプは全然違いますけどね。


ゲームの感想のときも書いたのですけど、獣耳が環境適応のためつくられた亜人種の特性であったり、エルルゥが最初からハクオロに好意的なのも「契約」のバックボーンがあったりと、一見「萌えのお約束」と流されがちな部分が実はストーリーの伏線となっているあたりが、すごく面白いところだと思います。多用された「家族」という言葉も、エルルゥがハクオロの遠い子孫だと考えるとはまってくるのが上手い。まあさすがに、2人にそこまでの意識はないでしょうけど。


ともあれスタッフの皆様、お疲れ様&ありがとうございました。