SHIROBAKO 第19話「釣れますか?」 感想後編

昨日の感想前編の続きです。SHIROBAKOは密度が濃いですよね。普通なら矢野さんの活躍だけでも平気で1エピソードにできるでしょうに、さらに深くお話は組み立てられます。それはムサニの原点にして、あおいのアニメへの道の原点でもありました。


社長があおいを連れてきたのは「武蔵野動画」。そこは名前からも分かるように、ムサニの前身になった会社でした。当時のままに置かれたセルや絵の具。それを見るだけでも収穫ありそうな訪問でしたが、それだけにとどまらず、なんとあおいの目の前には、若き日の丸山社長、そして杉江さんや大倉さんらの躍動する姿が広がるのでした。……いやいや、いくら今回ロロとミムジーの出番が少なかったとはいえ、ここでそんなに幻覚を爆発させなくても。


ちょっとばかりあおいの精神状態が心配になってしまいましたが、社長や杉江さんの若いころが見られたのは楽しかったですねえ。これでは大倉さんも社長の頼みを断れないわけです。時代的にはざっと40年くらい前の想定でしょうか? まだまだセルアニメ全盛の時代、というか、つい最近まで普通にセルでしたしね。カードキャプターさくらがセル画でしたっけ。それがいつのまにやら全部デジタル。時代の変化を思い知らされます。


そして明らかになった、「アンデスチャッキー」が武蔵野動画制作であったという事実。これまでもアンデスチャッキーの名前はちょくちょくでていましたが、昔の、あおいの好きなアニメという以上のことは分かりませんでした。それがここに来てつながってくるとは。あおいがムサニに入社したのも、何かの縁だったんですかねえ。


「ねえ、宮森さん、今はどう思う?」
「いま……私、楽しいです」


社長の言葉でまた元気を出すあおいでした。これ、別に社長はあおいを連れて行かねばならない理由はなかったんですよね。だから、疲れの見えるあおいの気分転換にということだったのでしょう。良い社長さんだなあ。うんうん。そして、今の自分の仕事を素直に好きだといえるあおいを、あらためて応援したくなりましたよ。


そして大倉工房。ありあの故郷の光景が出来てきました。


「目の前の面白そうなこと、必死にやってただけだよ」
「自分の進む先が最初から見えてたわけじゃないんだ。気が付くと今、ここにいる。それだけ」


重い言葉だなあ……。もちろんその時その時で色々なことを考え、決断し、道を見定めようとしていった結果なのでしょうが、色々な縁で今のこの時が決まっている。その自分の人生に納得できるかどうかはまた別問題なのでしょうが、少なくとも大倉さんは納得しているようですね。あおいの道はどこへ向かうのでしょうか。


そしてある意味衝撃のエンディング。まさかのアンデス・チャッキーOPバージョンです。ご丁寧に解像度も落として作りこみも十分。スタッフの本気の遊び心が伝わってきました。正直タイトルだけで軽く見ていましたが、すごく面白そうです、チャッキー。あおいがハマっただけのことはあるのでしょうか。こうなったらチャッキーの1話もBDの特典に……(さすがに無理か)。


アニメ文化の歴史と、先人たちへの敬意。それを受け継いで、さらに良いアニメを作っていくんだというあおいの決意は、本作スタッフの決意でもあると受け取りました。視聴者としても、謹んで拝見する所存でありますよ。


ああそうそう、次回予告に落合登場。もう出番がないかと思ってただけに、こんなところでもキャラを忘れない愛情を感じました。