傾物語「まよいキョンシー其ノ肆」

花火に誘い出されたたくさんの亡者たち。そこに現れた生き残りのたくましい女性。彼女の名前は?


八九寺真宵さんだけど?」


……ああそうかあ。これはやられたって感じでした。事故から助けても多少時間を伸ばすだけ、みたいなことを忍が言ったものだから、すっかりミスリードされてましたが、彼女が生きのびているという可能性も十分にあったのでした。まったく作者の術中にハマっております。この滅びた世界でも、彼女なら十分にやっていけそうだという安心感はすごいなあ。


しかし、そんな彼女との再会もつかの間、暦たちは別の道を行くのでした。このルートでのキスショット(以下略)と対峙し、世界を救うために、女の子を助けるために精一杯に傾いてみせよう。だからこその傾物語ですか。


死闘を覚悟していた二人でしたが、事態は意外な展開に。キスショットにとっては、自らの失敗を別の世界の二人に見せつけられた絶望があり、同時にそれを希望として諦めがついた、ということでしょうか。自ら忍に吸血されて決着がつき、暦と忍は元の世界に戻ってくるのでした。キスショット亡き後の世界がどうなったのかはちょっと気になるところですが、暦の死が確定では、あんまり見ても楽しくはないかあ……。


ということで、急転怒涛の展開だった今エピソードも終了。結局真宵よりも忍の話だった感があるのですが、別ルートの自分の姿に出会うというのはなかなか興味深い展開でした。パラレルワールドというのもマンガやアニメでずいぶん一般的な考え方になりましたが、現実には様々な運命の分かれ道があったとしても、選べるのは一つだけ。うまくいくための攻略本でも欲しいというのは、そのとおりかもしれませんね。


あと、キョンシーにお米が効くというのは忘れかけていたくらい懐かしいネタ。まあ、「まよいキョンシー」と言いつつ、もはや真宵とキョンシーの間につながりがないような気もしないでもありませんが。