翠星のガルガンティア 第11話「恐怖の覇王」

クーゲル中佐が生きていた! 同盟から遠く離れたはずの地球で再会とは、レドでなくても驚く展開ですが、彼もレド同様に飛ばされてしまったということでしょうか。風土病にかかってコクピットから出られないと語るクーゲルですが、これも伏線に当たるのかどうか。同盟とマシンキャリバーの科学力を持ってしても、病気は根絶できないということですか。アヴァロンの病院なら治療できるのかもしれないですが。


ここで安っぽい展開だと、クーゲル中佐が実は邪悪な人物で、豹変した態度を見せたりするものですが、今作はそう軽くはありません。中佐は立派な中佐のままで、レドの忠誠に足る人物でした。ただ、その常識が頑なに同盟の基準に沿ってしまっているというところから、わずかにレドとの間に認識の隙間ができている。この微妙な差異が上手く描写されていました。ヒディアーズが「元人間」であることも認めながらも、今はもう同胞ではなく、戦うべき敵であると理解しているあたりも、チェインバーの理屈と通じるものがありますね。


マシンキャリバーという圧倒的な力を持って、ヒディアーズとの戦いを地球人に啓蒙する。その理念は忠実な同盟の軍人としては当然のものかもしれません。しかし、レドが内心で(おそらく無意識的に)感じているであろう違和感は、視聴者にも伝わります。果たしてそれで人々は幸せだと言えるのかと。


組織への服従と奉仕、公平な配給は必ずしもそれ自体悪いわけではないでしょうが、度が過ぎれば結局は全体主義であり、つまりは戦時総動員体制の暗さが待っているわけです。ま、レドが反発するまでもなく、ピニオンやラケージはあからさまに面白くなさそうでしたけどねえ。


クーゲルも悪い人では無さそうなので、うまいことレドと和解できるラストになってもらいたいものだと思いますね。なんかネット上だとクーゲルはもう死んじゃってる予想も多いようなので驚いてますが、それだとちょっと悲しいような気がしちゃいます。