翠星のガルガンティア 第8話「離別」

ここ数回はユーモラスなシーンも交えたほのぼの感があった本作ですが、今回はサブタイトルが表すように全編にわたってシリアス風味。それぞれのキャラクターの思いがじっくりと描かれて見応えがありました。


離別のその一はフェアロック船団長の死。正直まだ彼のことを知るには時間が足りなかったという感はありますが、常に船団のことを第一に考え、人望があったことは伝わってきました。そして彼が船団を託したのはリジット。若すぎるんじゃないかという気もしますが、これは彼女の父親が重要人物だったという血筋もあるのでしょうね。冷静に考えると、船団長の一言で最高権力者が継承されちゃうガルガンティアの政治体制はどうなっているのかという疑問も生じますが、まあそんなことは野暮な話として。ここは自らに重責が果たせるかと悩む彼女の姿が見どころでした。彼女を叱咤激励するベローズがかっこ良かったですが、「あたしにもそんな時があった」って、18歳の彼女が22歳のリジットにいう言葉とは思えませんな。どこからその貫禄が来るのやら。


そして離別のその二はフランジ船団の分離。そして、それに乗るレド&メルティと、エイミーとの別れでした。レドと離れる寂しさに泣くエイミーの姿はちょっと意外。いつの間にかそこまでレドのことを親しく思ってたのですねえ。でも、その姿をレドの前では見せないあたりが女心というものでしょうか。レドはレドで、単に「使命だからヒディアーズを討つ」だけじゃなくて、「エイミーを悲しませたくないから」というふうに理由がついてきている。本人も気づいていないのかもしれませんが、これは最初からすると大きな変化ですよね。すれ違っているようであり、想い合っているとも言える不思議な関係です。


あと、今回良かったのが、フランジ船団があくまで平和的な離脱であったこと。フランジは方針をめぐってフェアロックと対立はしていましたが、個人的な確執があったわけではなく、最後まで敬意を払っていました。単純な悪役にされてないのは好感がもてましたよ。