絶園のテンペスト 第24話「それぞれの物語」

ついにはじまりの木との最後の戦い。羽村君が敢然と立ち向かうのでした。別に主役級のキャラというわけでもなく、さほどかっこ良いというわけでもなかった彼に世界の命運が託されるというのが、本作らしいところですかねえ。でも頑張ってくれました。恋人との中も修復できそうで良かった良かった。


ともあれ大団円です。2クールでこれだけ話をつめ込み、なおかつきっちりと展開させて回収しきったという点で、本作のシナリオ構成は出色の出来栄えだったと思います(「新世界より」も素晴らしかったですが、あちらは10年以上に渡る長編ですから、短期間での圧縮感という点では本作のほうが上でした)。作画も音楽も良好でしたし、高い評価のできるアニメとなりました。


……ただ、いかんせん、いまいち地味なのは否めないところで、以前も書いたように、序盤での伏線張っていく期間が盛り上がりに欠けたかなあと。まあ僕としては「城平京さんの作品ならそんなものだろう」くらいに思っていたのですが、見切ってしまった方も少なくなかったと思われます。惜しいことで。


話を戻しますと、結局最初から最後まで「二人の少年が世界に対峙していく物語」なんですね。吉野にも真広にも特別な力は無くて、それでも自分たちの意志の力で運命に立ち向かっていく。最初はただの不良少年に見えた真広が、これほど凛々しく頼もしく感じられるようになろうとは。吉野も、底が見えないような不気味なところがありましたけど、芯は純粋で優しい少年でした。


真広の言うように、愛花のしたことが正しかったとは思えないし、彼女が戻ってこないことは二人にとっても視聴者にとっても寂しいことではありますが、それでもきっと彼らなら、前を向いて歩んでいけるのでしょう。


良い最終回、良い物語でした。