絶園のテンペスト 第17話「マリンスノー」

ここ数回、吉野への恋心に悶々とする葉風の百面相が楽しいですね。吉野を好きになると、はじまりの樹が吉野の彼女を排除してしまうかもしれないと思い悩む葉風。「自分の希望が叶う」というのは便利過ぎる能力のようで、実は恐ろしいものだと思わされます。むしろ、それだけの巨大な力を持ちながら、ここまで素直に育ったほうが驚きというものでしょう。鎖部の里の教育が良かったのですかねえ。ただ悩むだけで終わらせず、勢いもありましたが堂々と告白してみせたのがまた彼女らしいところでした。


一方で、そんな葉風の気持ちにも気づかず、むしろ彼女の問いに答える形で、今は亡き彼女である愛花のことを思い起こす吉野なのでした。あいかわらず愛花は知的で、かつエキセントリックな言動をしてくれますが、変人同士という点で、吉野とお似合いではあります。


正直これまで、吉野と愛花が恋人だったと言われてもピンとこなかったんですよね。ふたりとも、どちらかと言うと他人を弾きそうな性格じゃないですか。だから彼氏彼女といっても、それほど深い想いではなかったのではないかと。でも、こうして次第に二人の回想を見ていくと、ああ、本当に二人は好き合っていたのだなと実感されてきます。そして同時に、吉野の失ったものの大きさが、次第に視聴者にも伝わってきますね。う〜ん、悲しい。


ところで、昨今ちと気になるのは本作の評価でありますよ。脚本は伏線を縦横に活かして見応えがありますし、作画演出声優も手堅い。良い出来だと思うんですが、BDの売れ行きは芳しくないようで。やっぱりこう、全体的に地味なんですかね……。