「劇場版マクロスF」

TV版は見たものの、劇場版には足を運ばず。しかし先日アニマックスでやってくれたのを録画視聴でした。


うん、予想以上に面白かったです。


前編「イツワリノウタヒメ」の方は、TV版の総集編的な部分も強くありましたが、それでもアルトとランカの関係、シェリルの立場や知識に結構な変動があって興味深く見られましたし、後編「サヨナラノツバサ」はすっかりオリジナル展開。TV版とはまた違う「もう一つのマクロスF」として楽しめました。


キャラクターとしては、まずTV版よりも主人公らしくなったアルト。歌舞伎の天才子役であったことや空を飛びたいという強い願い。TV版ではいまいちストーリーと噛み合っていなかった部分が、劇場版ではきっちりと消化されていました。


そしてシェリル。まさかのシェリルエンドでしたが、それも納得するだけの、魅力3割増しという活躍でしたね。もっとも、彼女がどこまでグレイスや、その背後にある策謀を知って協力していたのかという点ではいささか分かりにくいところもあります。スパイ容疑を否定しなかったということは、それなりに自覚があったのかなあ……。だとすると、死刑はともかくある程度の罪に問われても致し方ない気もしますが、さて……。


TV版ではただの悪役だったグレイスも、今作では複雑な魅力を見せてくれました。操られていない部分では、本当にシェリルのことを想っていてくれたのだと、そこは嬉しい描写でしたね。


ランカは……まさかはっきりと振られてしまうとは思ってなかったので驚きました。頑張ってたんですけどねえ。TV版でははっきりせずに、劇場版では失恋。これはもう、別途ランカエンドを脳内補完するしか(まあ、実はTVがランカエンドという考え方もできますが)。


作画は劇場版らしくスケール感があり、もちろん、マクロスの華であるところの歌もたっぷり。むしろたっぷり過ぎて一曲一曲が印象に残らないほどでもありましたが、シェリルやランカのライブシーンも派手で良かったですね。彼女たちが同時に何人も登場していたり、服や髪型が一瞬のうちに変貌したりと、どういう原理なんだか良く分かりませんが、まあ、巨大移民船団が宇宙を行く時代なので、テクノロジーが発達しているのだということで。


実はストーリーの細かな点は少々整合性が怪しい気もするのです。少なくとも一回見ただけで分かりやすいとは言えません。でもそれも勢いで押し切ってくれたということで。ラストはぼかされた感じではありましたが、ランカ同様、アルトが戻り、シェリルが目をさますことを信じておりますよ。


ところで、これはTV版でも感じていたことなのですが、ランカの16歳はともかく、アルトやシェリルたちの17歳という年齢はもう3つくらい上げても良かったかなという気がします。シェリルが大人びているからというのもありますが、SMSがいかな民間会社でも、10代の少年を戦地に出すのはどうかと思ってしまいまして。まあこれはいまさら言ってもしょうがないことではありますが。