氷菓 第20話「あきましておめでとう」

さて、お正月ですお正月。出不精の奉太郎も釣られてしまうくらい、えるの着物姿というのは魅力的ですね。考えてみれば、現実でもアニメでも、お祭り時の浴衣(と、アニメでは時代劇)を除くと着物姿というのはなかなか見られないわけで、小紋と振袖の違いも分からない奉太郎のような人が多数なのだろうなあ、と思うところ(僕もそうですが)。伝統衣装なのにもったいないという気もしつつ、現実の便利さと経済の前には逆らえないのも事実ではあります。


さて、そんな話はともかく、今回は倉……じゃない納屋に閉じ込められてしまった二人の話でした。たしかに、倉なんて普段見ない庶民にとっては納屋も物置も一緒くたであり、奉太郎が間違えた気持ちはよく分かります。さて、そこからどうやって脱出を図るのか……。とはいえ「大声で助けを呼ぶ」という最後の手段が用意されている分、緊迫感は抑え目で、日常的なリアリティの中に収まっている「事件」ではありました。このあたりのバランスは、「愚者のエンドロール」編で、実際の殺人ではなく、あくまで映画の中での事件を考察した構成に通じるものがあります。


最後は時代劇のネタで里志に助けられて幕。タイトルのダジャレも含め、他愛もないといえば他愛もないエピソードでしたが、お正月の華やかな雰囲気と、メンバーの友情が感じられる良短編だったかと思います。


それにしても、山沿いの街だけあって、空気は相当寒そうでした。見ているこちらはまだまだ夏なので、少し寒さを分けてもらいたいくらいでしたけどね。