あの夏で待ってる 第9話「せんぱい」

イチカが宇宙人であるという衝撃の事実が、いよいよ皆の知るところに。それでも、ぼんやりと記憶を取り戻していた海人はさほど驚くことはなく、他のメンバーも驚きながらも自然にそのことを受け入れるのでした。……あれ? 実は「衝撃」じゃなかったのかも。


地球にいられる時間が残り少ないと感じるイチカは、一人で目的の「風景」を探すことに。この風景については今のところこれといった伏線もないようですが、ラストにうまく持ってくる話なんでしょうかね。ただ、彼女が海人の助けを断ったのは、自分の気持ちに答えを出せず、揺れていたからでもありました。そこを鋭く指摘して、結果的には二人の仲を進展させてしまったのが柑菜。このアニメのキャラは本当にみんな人が良いというか。哲郎にしても美桜にしてもね。いやまあ、檸檬は分かりませんが。


今回は回想で柑菜と海人の出会いのシーンも描かれましたが、彼女が好きになったのは、海人の素朴な強さと前向きさだったんですね。これまで、なんで彼がそこまでモテるのか謎だったのですが、今回のようなさりげなくも積極的な行動や告白やキスシーンを見ていると、なるほど、ただの鈍感地味少年ではないのだな、と思わせるところではありました。


海人とイチカの気持ちが通じ合ったところで9話まで終了。今作を見ていて感じるのは、絶妙なペース配分です。1クールに詰め込みすぎるでもなく、さりとて淡々と流すのでもなく、緩急をつけ、密度を保ちつつ物語を語っていく上手さは、ベテランスタッフの職人芸と思わされますよ。


なお、イチカ


「宇宙人でもいいですか」


は、なかなかに斬新で印象的ななセリフ。むしろこれを作品のキャッチフレーズに持ってきても良いくらいだと思いました。