偽物語 第5話「かれんビー 其ノ伍」

これまでは軽妙な会話劇という色合いが強かった偽物語ですが、火憐と貝木との対峙場面が描かれたことで、いよいよシリアスモードになって来ました。


「こざとへんに可能性の可、良い良い、それに若木の木。火を憐れむで、火憐だ」


おお、火憐がきっちり説明してる! 3話で暦が説明しようとした時に、この名字の説明は難しそうだなあと思ったものですが、きっとこれまで何度も繰り返してきたんでしょうね。また、同じ「木」についても、貝木が「枯木の木」と説明しているのと対比すると面白いです。


あくまで正義を語る火憐と、詐欺師としてのビジネスに徹する貝木は当然折り合うことはなく、火憐が病気を移されて敗北に終わってしまうわけですが、ここでの火憐の怒りは至極正当であると、僕は思いますね。たとえ貝木には貝木なりの哲学なり信念があったとしても、だからといってその行為が許されるわけではない。負けてしまっては正義ではないのだとしても、見過ごさずに立ち向かおうとした火憐の心意気は評価したいです。そして、それを認めたからこそ、暦も翼も火憐を本気で叱ろうとはしなかったのでしょう。


なお、絵的な見どころは火憐が髪を下ろしたシーン。これは新鮮でした。髪を下ろすと一層似ている兄妹でしたね。暦が火憐の体を拭くシーンも、エロいといえばそうも言えるんですが、むしろ兄妹間での気安さと信頼というものを強く感じました。月火の前でバスタオル一枚だった(月火もそれに対して特にリアクションがなかった)あたりにも、そんな印象を受けました。