ちはやふる 第15話「つらぬきとめぬたまそちりける」

一話の中にどれだけ名台詞、名シーンがあるのか! ここのところ毎回すごいちはやふるですが、今回の密度はいよいよもって驚嘆ものでした。


「千早が20枚も差をつけられて負けるなんて……。そんなに上がいるなんて」


太一まで落ち込むことになった千早とクイーンの一戦。しかし千早はその悔しさを受け止め、涙しながらもさらに上を目指そうとしていました。


「やっと、千早の夢が本物の夢に」


これまで漠然と憧れるだけだったクイーンという座。その存在と実力に直に触れたからこそ、具体的な目標として千早の心のなかに形作られるようになったのですね。それを素早く見抜いた太一の観察力もさすがです。


一方、太一が挑んだB級決勝戦。なるほど、前の試合の記憶が残ってしまうためのお手つきもあると。厳しい、実にかるたの世界は厳しいと思わせてくれます。そんな太一を応援すべく、自然と手を重ねていく瑞沢メンバーですが、ここの演技が実に細やか。全員手を重ねても十分良いシーンですが、最後に奏が西田に手を重ねようとして、彼の震える表情を見て取りやめるアクセントまでつけるとは、恐れ入りました。


「泣くな、俺はまだ泣いていいほど懸けてない」
「負けを認めるのは大人でも難しい。でも、あの子たち、誰も慰め合わない」


実力不足を認める勇気。それを努力に変換しようという向上心。熱く感動的で、忘れてはいけないものを思い起こさせてくれる、そんな傑作回でありました。