アイドルマスター 第24話「夢」

多くを語る必要はないような、それでいて何かを語りたくなるような、そんな余韻が残るエピソードでありました。


プロデューサーのケガでいよいよ落ち込む春香。それがミュージカルでのリアルな演技につながり、まさかの主役抜擢も、気持ちの回復には至らず、とうとう仕事を休むようになってしまうのでした。ミュージカルのセリフを春香の思いと重ねる演出は、ちょっとピッタリあいすぎだろうと言いたくはなりましたが、声優さんの熱演とあいまって、鬼気迫るものがありましたね。


春香の自宅では、彼女の母親と思われる女性との会話あり。姿は見えませんでしたが、「少し、外の空気でも吸ってきたら」という言葉には、春香への気遣いが感じられました。今作では千早母を除いてアイドルたちの親は存在感が薄いですが、楽しみと心配とが混じった気持ちで見守っているんだろうなあ、と短いシーンながらも感じさせられました。暗い表情で町を歩く春香と、雑誌で笑顔の春香の対比は印象的。それにしても、あの雑誌のインタビュー、全部読みたいものです。


公園での子供たちとの出会いから初心を思い出すまでの流れは、ややベタながらも、幼い頃の春香に手を引かれる今の春香という演出も決まり、感動的な流れでした。そしてまたもちろん、そんな春香の心情を知り、彼女の帰りを待つ765プロメンバーの姿も心温まるものでしたね。


今回を観て、前回の感想で、僕は春香を過小評価していたのかもしれないな、と思いました。春香は、みんなと一緒でいることにこだわりすぎて、進めなくなっているのではないかと思っていました。でも、単純にそれだけとは言えないのですね。


アイドルとして個別にステップアップしていくことが必要だということも十分に承知した上で、それでも、765プロみんなの結束は大事と感じている。最後に美希が説明してくれたように、がむしゃらに前に向かうだけでは迷子になってしまうかもしれなくて、進むためには足場がいる。それを本能的に一番分かっていたのが春香だった、ということなのかもしれません。だから彼女はやっぱり、ちょっと地味なようでも765プロの要なんでしょう。


さてそして、今回忘れることのできない男性2人の活躍。まずはプロデューサー。命に別状なく、順調に回復できそうで何よりでしたが、


「なら、大丈夫だよ。きっと、みんな千早と同じように感じていると思う。家族って、そういうもんだ」


良い言葉です。……が、惜しむらくは彼の素性が不明なのでそれ以上の感情移入がしにくいですねえ。まあ、アイドル達を描くのも手一杯でしょうから、プロデューサーまで描いてられないんでしょうけど。しかし、メガネ取ると普通に整った優しい顔立ちですな。


そして、幸いにもまだ出番があったジュピターの冬馬。


「仲間の絆ってのが、お前らのパワーの源だろう?」


そもそもジュピターと765プロアイドルとがまともに話すこと自体今回が初めて。それだけでも嬉しいというか。小さい事務所ながらも、頑張っているようで良かったです。でもライブは春香にパスされてしまったようで、残念でした。


さて、次回はいよいよ最終回。おそらくニューイヤーライブで締めでしょう。期待してます(でも、ミュージカルはどうなるのかな?)。