輪るピングドラム 第20話「選んでくれてありがとう」

晶馬と陽毬との出会いがしっかりと描かれた一話。他にも、終盤に来ているだけあって、高倉剣山らの活動についても、いくつか見えてきました。


剣山らの率いる思想団体(?)「ピングフォース」は冒頭の演説を聞く限り、「人に何かを与えようとせず、求められることばかり考えている」「きっと何者にもなれない」人々を糾弾し、現状を「氷の世界」と評しているようです。壁に貼られている写真を見るかぎり、その母体は「南極環境防衛隊」だったのでしょうか。


意外なのは、彼らが事件を起こし、名前を変えたあとであっても、その場に子供たちを呼んでいたことですね。「世間は我々を犯罪者と呼ぶ」と言っているので、冠葉や真砂子はそのことを認識していたと考えざるを得ません。では、両親が指名手配されたときに冠葉がうろたえていたのは演技だったのか、ただ発覚したことにだけ驚いていたということでしょうか。少なくとも晶馬はまるで知らない様子だったので、この落差は大きいですね。加えて、真砂子が冠葉を「お兄さま」と呼んだことも大きなポイントで、彼女こそ冠葉の実の妹であったとするなら、なるほど、陽毬を執拗に憎むのも分かるところです。ああ複雑だ……。


母親に見捨てられ、マンションでうずくまっていたところを晶馬と出会った陽毬。この時の彼女は暗い子供だったんですね。厭世的といいますか。陽毬は今でも、眞悧との会話などでそうした重い側面をのぞかせることがあるようです、というか、ここで二人が何を語っているのかちょっと難しくて分からなかったり。陽毬すごいなあ。


しかし、ラストは元気に料理をする陽毬の姿。どうやら、記憶を取り戻しても大きく変わるようなことはなかったようで、一安心。彼女の明るい姿に、晶馬が救ったものの大きさを思わされます。ただ、一方で冠葉は父親の思想に同調しているようでどうなるか? OPで、冠葉と晶馬陽毬の走る先が違うのが、今後の行く末を象徴してそうで怖いですね……。