花咲くいろは 第18話「人魚姫と貝殻ブラ」

笑いと感動。菜子の魅力が凝縮された1話で、本作の中でも屈指の好エピソードだったのではないでしょうか。


初公開の菜子の自宅では弟妹の世話でてんやわんや。普段と違って強気な彼女の姿が描かれます。誰しも自宅での自分と外での自分は少し異なるものでしょうが、彼女にとってはそれはかなり隔たって感じられるようで。「海の外に出たい、変わりたい」と望みつつも、海の中で自由に泳ぎ回ってもいたい、そんな心情なのですね(ところで弟くん、お姉ちゃんを呼び捨てにしては駄目だよ。あとご両親は教師でしょうか。悪い人じゃなさそうですが、娘さんに家事任せっぱなしはどうかと)。


とはいえ、やっぱり緒花たちの前ではそれなりにリラックスできるようで、今回は菜子の天然毒舌がたっぷり振りかけられていたのも見どころでした。


「緒花ちゃんはたぶん、褒めると図に乗るタイプだから」


狙って言っているのではなく、半ば無意識のうちに本音が出てましたね。的確な評ではありますが。


ともあれ給料ももらったので、いつものメンバーで街に出かけることに。


「緒花ちゃんって結構センスがいいんだよね」


明らかになる事実。確かになかなかのセレクトです。あのベージュの衣装は緒花にもよく似あってました。たとえセクシーじゃなくてもね。


ところでこの街は7〜8話で徹を呼びに行ったのと同じ場所だと思うのですが、「街」としか言わないんですよね。石川舞台だと金沢ってことで良いのだとは思いますが、金沢に旅行に行ったことはあれど、さすがに細かい景色までは覚えてないです。ということで検索……どうやらこちらが緒花たちの行った喫茶店のようです。というかそのままですね。


「そう言えば、緒花ちゃんも友達いなさそうだもんね」
「裏表無くていつもそのままだし、敵も多いかもなって」


フォローになってない重ね技が素敵です。


菜子の思い描く人魚姫の世界。緒花たちがアマダイさんなのが面白い。まあ、自分の世界では自分が主人公ですからね。さらに、崇子に近づいて逃げられる若旦那も。初見では気づきにくいところでしたが、芸が細かいです。


「変わらないといけない」その思いが重荷となってしまっていた菜子。でも、お客さんとスイが見ていたのは、たとえ家にいる時とは違っていても、懸命に仲居の仕事を進めていく彼女本来の姿でした。手紙のシーンは感動的で泣かせます。菜子にとって、喜翆荘はもう泳げるフィールドになったのですね。良かった良かった……、というところで、


「きなこもちとキモなこちって、ちょっと似てるよね」


いやいやいや、そんな伏線で落とすなんて誰も予想できませんから! 一人満悦の緒花に、もうつっこみ返す気力もない民子の表情が良かったです。