C 第11話「control」

未来のない現在か、現在を失っての未来か。やや抽象的ではありますが、理念をぶつけ合った公麿と壮一郎のディールは決着し、公麿は輪転機の逆回転を実行します。並行して日本円の価値暴落による「C」の回避が描かれていたので、そのままでも何とかなった気がするのですが、公麿が選んだのは現状維持ではなく、あくまで未来の買い戻しであったのでしょう。ちょっと分かりにくかったですが、「買い戻し」のためにつぎ込んだのは、これまで公麿と壮一郎が溜めたすべての資金ってことですかね。


そして世界は光に包まれて一変します。ここの所の描写に、エヴァ旧劇場版のサードインパクトを思い出した人も多かったのではないかと。これまで、ミダスマネーのおかげで存在をしていた人々は消え去り、担保にされていた未来が帰ってくる。未来が広がったのは良いですが、その中でジェニファーや羽奈日まで消えてしまったのは悲しい。羽奈日は一応(ほんとに一応ですが)ヒロインでしたのにねえ……。やっぱり、犠牲も大きかったです。


さて、これで本作も終了。金融の世界をファンタジーで表現しようとした、意欲作だったと思います。現在、世界中をマネーが飛び交っています。投機マネーの総額は数百兆円とも数千兆円とも言われますが、これは人々が日常で必要とする金額をはるかに上回った数字。まさに信用だけ、数字だけの世界が存在しているわけですね。金融街という設定は、そうした事実を元に発想されたものと推測します。


物語をファンタジーバトルに落としこむのは結構難しかったと思いますが、エンターテイメントとして、ある程度バランスをとることに成功していたのではないでしょうか。さすがに怪しげなところもありましたけどね。金融関係の本をちょこちょこ読んでいたこともあってか、なかなか楽しめました。