魔法少女まどか☆マギカ 第11話「最後に残った道しるべ」 第12話「わたしの、最高の友達」

第10話をネットで視聴してより一ヶ月。待ちに待ちこがれた魔法少女まどか☆マギカが、ついに最終章となりました。まず最初に、放映してくれたことに感謝を。詳しい事情は存じませんが、関係諸氏の熱意の賜物かと思います。


さて、物語についてはもはや多くを語る必要もないでしょう。何かを語ろうにも胸がいっぱいですし、そもそも作中ですべて描き出されています。まどかの祈りも、ほむらの決意も、そしてまた、まどか母の娘を信じる気持ちも、さやかの想いも。


ほむらにはもう、まどかを見捨てて生き延びるという選択肢はなかったのですね。あきらめた瞬間に彼女は魔女となってしまう。残酷な運命。そんなほむらを、そしてみんなを救うべく、まどかは願います。


「すべての魔女を、生まれる前に消し去りたい」


おそらく誰もが考えた願いでしょうが、ここでストレートに持ってくるあたりがすごい。もっとも、キュゥべえの驚きようを見ると、まどかの魔力をもってしないとこんな破天荒な願いは通らなかったのでしょう。となると、「どんな願いでも叶える」という言葉は嘘があったってことになってしまうなあ……。嘘だけはつかないインキュベーターかと思ってたんですが。


そして宇宙は再構成され、まどかは希望となりました。Fateで言うところの「英霊」になったのですね。自己犠牲のラストは悲しくてあまり好きではないのですが、まどかの願いはすべて魔法少女が救われること。それはまどか自身にも当てはまり、彼女もちゃんと救われたのだと思いたいです。ただ、それでもやはり悲しくてやるせないのですが……。


魔女のいなくなった世界でも、やはり世界の歪みは生じて、魔法少女達は戦い続けるのでした。力を使い切った魔法少女は呪いにはならず、ただ消えていく。そんな世界。キュゥべえの目標も変わったことで、ほむらとそれなりにパートナーやっているあたりが面白かったですね。


ラスト。


「頑張って」


届く親友の声にほむらは微笑み、戦いの場へ飛び立っていくのでした。


……この時のほむらの姿は砂漠の中に黒くギザギザの翼ということで、悪いように解釈すればいろいろ不安な状況にも見えてしまうのですが、「ハッキリしない時は良い方向に考える」という個人的ポリシーによって、これはハッピーエンドなのです。そういうことにしましょう。


虚淵玄さんの脚本、蒼樹うめさんのキャラデザ、さらに監督が新房さんということで、放映前から注目を集めていた本作。それでも、ここまで期待以上に面白く、また、話題作になろうとは。おそれいりました。最後は2話で本当にまとめられるのか、そんな不安も少しあったのですが、全くの杞憂でしたね。むしろ飛び抜けるほどにスケールを広げ、綺麗にたたみきったことに驚嘆するよりありません。


それにしても、果たしてこれを「魔法少女もの」と呼んで良いのか。ちょっと悩むところではあります。ただ、字義通りにとらえれば魔法とは「悪魔の法」。となれば、まさに悪魔の如きインキュベーターと、世界の歪みに翻弄させられる彼女たちこそが、むしろ本来の意味での魔法少女であったのかもしれません。


ともあれ、スタッフの皆様、素晴らしい作品をありがとうございました。