フラクタル 第10話「僧院へ」

いよいよクライマックス……のはずですが、いまいち盛り上がらない感は否めません。ここでクレインがグラニッツと共に僧院と戦うには、フラクタルシステムの危うさとロストミレニアム運動の正当性とを視聴者に納得させてないといけないと思うのですが、そこがいまいちうまく回ってない気がするんですよね。少なくとも僕は納得できてません。


フラクタルシステムがそれなりに豊かな世界を築き上げたことは事実みたいですし(そこ自体描写不足だと思いますが)、急に無くそうと言っても、ついていけない人が多数出てきてしまうでしょう。祭司長の言っていることのほうが筋が通っている気がしてならないです。それを覆すだけの構想が果たしてロスミレにあるのか。それが示されないのでは、下手するとテロの肯定になってしまいそうです。


結局、クレインの戦う理由は「フリュネとネッサを犠牲にしたくないから」になりそうではありますが、そもそもシステムの更新のために彼女たちの犠牲が必要という設定自体、いささか苦しい気がします。せめて序盤から彼女たちの正体と役割が明示されていたら、そういうものだと了解できたかもしれませんが……。


とまあ、いろいろ不満が出てきてしまうのではありますが、今回感心したのはディアスの一貫した態度ですね。フラクタルシステムの支配下では、それも利用してでも僧院に打ち勝つ。敵の一番の弱点である「鍵」を真っ先に排除する。合理的で信念をもった闘士ですね。もちろんフリュネに死んでもらいたくはないですが、ロスミレ運動の目標を考えれば、真っ当なことを言ってますよ、彼は。