屍鬼 第21話「第腐汰悼と悲屠話」

普通の主婦が平然と屍鬼の死体を運び、血のついた手でのんびりとおにぎりを食べる。アバンからなかなか強烈に飛ばしてくれます。たった1、2日のことなのに、あっという間に凄惨な暴力に慣れてしまう人間の怖さを示したシーンですね。前回ラストの殺人につき、敏夫の反応が描かれていませんでしたが、もう彼にも止められない雰囲気なのでしょう。


今回はそんな人間たちから逃げようとする静信と沙子の方がクローズアップ。常に住職の跡取りとして期待されてきた重圧から、自らを追い込んでいた静信。半分成り行きで行動しているようにも見えますが、彼の取るべき道は見つかったのでしょうか? そして、最後まで沙子につかえ、おとりとなった辰巳。「ヤッ」の声がこんなにかっこよく聞こえる時が来るとは。いや彼、ほんとに優秀な悪役で憎らしいんですが、味方として見るとすごく頼もしいですなあ。


一旦寺に戻って沙子を隠そうとする静信でしたが、この行動はちょっと疑問。一番わかり易いところに戻ってどうするという気もします。まあ、他に逃げ道も考えられず、やむをえなかったのですかね。しかし、罪の無い静信の母と寺男まで問答無用で殺してしまう人々のなんと醜いことか。この前までは人間側の反撃を願っていたのに、そんな思いも曇りそうな非道。このへんの容赦無さが今作らしいところです。


さて、次回はいよいよ最終回。大晦日となりますか。どちらにしても完全なハッピーエンドとはいかないでしょうが、期待してます。