ヨスガノソラ 第12話「ハルカナソラヘ」

前回のラストがあれだったこともあり、見るに当たって妙にプレッシャーというか緊張感を感じてしまった最終回でしたが、これが意外なほどに良い出来。まずまず綺麗にまとまったのではないでしょうか。


二人の関係を知られたことに落ち込む悠。まあ普通はこの反応でしょう。一方、「どうってこと無いよ」と平然と登校する穹の強いこと。覚悟が違うのでしょうねえ、彼女は。


「別れよう、そのほうが幸せになれる」


そんなこと言い出すなら最初から手を出しちゃ駄目だろうという気がします。まあ、手を出したのは穹からだったような気もしないでもないですが。にしても、「蓄えの無いことが気づかれていた」とは、他ヒロインのルートでも関わってきそうな話。それらの世界ではどうなったのかもちょっと気になりますね。


そして家を飛び出した穹。彼女は自殺しようとしていたのでしょうか? それとも、ただ身を清めたいと思っただけなのか。そのへんはちょっと微妙ですが、個人的には、なんとなく死ぬところまでは考えてなかったように見えました。穹は繊細ですが、生き抜く気力は割とありそうに思えるので。あと、冷たい仕打ちを受けながらも悠を献身的に手伝う奈緒。やっぱり基本的には真面目で良い子ですが、彼女の心情の背景には、悠に対する罪悪感を消しきれてないことがあるのかもしれません。


「二人で探さないか? いちばん気持ちを大切に出来る道を」


今まで、一人で悩んで暴走したり抱え込んだりしていた似たもの同士の二人。でもそれじゃ道は見つからなくて。対等の二人として話し合って、それで未来を見つけていこうということ。物語を締めるに良いセリフだったと思います。


エピローグ。委員長と奈緒以外のみんなも悠と穹の関係を知ったのか知ってないのか。村との別れがちょっと寂しく、また、外国での前途も苦難が多いことでしょうが、初回と同じく電車の窓から青空が見えるラストに、希望を感じさせてくれました。



さて、いろいろ話題になった本作。正直、初回に感じた期待値からするとかなり変な方向に行っちゃった感もあり、重厚美麗な作画と音楽がもったいないきらいもありました。毎回今回レベルのドラマを見せてくれていれば文句無しの傑作になったでしょうに。ただまあ、終わり良ければ良しとも言えますか。キャラ的には瑛と穹が可愛かったです。


そうそう、Cパートも良い最終回でした。




(追記)
見終わってしばらくしても、意外と余韻が強く、なんだかもやもや感が残ります。おそらく、二人が絆を断ち切って逃げ出してしまったかのように見えるラストが引っかかるのでしょう。上では「希望を感じた」と書きましたが、逆にそうでも思わないと心配でならないのです。


やはり、インセストタブーの重さがのしかかりますね。どうも昨今のアニメゲーム界では「兄妹が恋愛するのは当たり前」的な、リベラルなんだか歪んでいるんだか分からない風潮がありますが、それはあくまでラブコメ的にやっているから(一応)アリなわけで、基本シリアスの本作ではひと味違う重みがありました。


ただ、相反することを言うようですが、どうせならその葛藤をもっとドラマとして深められたのではないかという惜しさもあります。もっと話数を使って、二人の、そして周囲の関係性を描けたのではないかと。でも、そうなると原作とは違っちゃうのかな。


ともあれ、二人に幸あって欲しいものです。どういう形が幸なのか、僕にはちょっと分からないのですが。