ヨスガノソラ 第6話「アキラメナイヨ」

終わってみれば良い話……と言えないことも無いのですが、通して見ると、あんまり上手い展開では無いなあ、と思わざるを得ません。


ここまで来るとハッキリしてきますが、どうも主人公である悠の行動が感情移入しにくい。これは、今作を観ている多くの人が感じるところではないかと思います。前回の「ペンダントを探す」宣言もなかなかに突飛でしたが、今回はのっけから夜の女の子の部屋に押し入るという犯罪じみた勢いを見せてくれました。なおかつ、半ば強引に遺伝子鑑定を提案。他者のデリケートな部分に踏み込みすぎだろうと思えてなりません。良く言えば情熱的なおせっかいということになりましょうが……。


いきなり付き合うのをやめようと言い出す瑛も唐突ですが、「永遠に無くならないものはあるよ!」と力強く言い切ってしまえる悠の感性が良く分からない。彼の生い立ちや性格が描写不足なので、いきなり断言されても「何を根拠に?」と感じてしまいます。これもまた伏線であれば良いのですが。


最期においしい部分を持っていった感じの一葉母。でも、事情を知っているのなら遺伝子鑑定とかせずに最初から話せば良かったんじゃないですかね……。あ、でも、遺伝子鑑定の結果通知書は描写が細かくて面白かったです。


「やっぱり怖いんだ。確かめたら、完全に夢も消えちゃう気がして」


ここで瑛がいう「夢」というのは、自分が汀家の一員となり、両親と仲良く暮らすという夢なのでしょうか。「本当の自分はもしかしたらお嬢様なのかもしれない」という思いが彼女の慰めになっていたとしたら――それはある意味一葉を犠牲にする夢想でもあるわけですが――悲しく、重い話ですね。それを断ち切ったのですから、やっぱりハッピーエンドは良いです。