「ハートキャッチプリキュア!花の都でファッションショー…ですか !?」

「一人でプリキュア観にいくのは恥ずかしいかなあ」などと弱気しておりましたが、評判も良いようなので、やはりこれは行かねば! と思い立ってGO。3週目に入り、また、朝イチということもあってか空き気味で、特等席で鑑賞できました。


うん、良い劇場版でしたね。オーソドックスで奇をてらったところはありませんが、そこは今作、基本レベルが高い。劇場の大画面でプリキュアたちの変身や活躍を見られるのはそれだけで楽しいってものです。最高傑作とまでは言いませんが、行った甲斐がある良作でした。


海外舞台ということでパリの街並みも見もの。なぜ彼女たちがパリにいるのか、という直接的な説明を一切しないのには驚きましたが、観ている内になんとなく、来海家がパリに借りているアパートにお呼ばれしたということが分かるのも、上手いつくりです(学校はどうした、という疑問はありますが……)。


もちろん音響も映画らしく豪勢。OP、ED含めて、ちゃんと慣れ親しんだ音楽をかけてくれますが、映画用にアレンジされているのが心憎いです。



さて、以下ネタバレ感想で。



つぼみたちのキャラ紹介も兼ねてのルーガルー(オリヴィエ)との交流は、ややお説教ぽい感もありましたが、それぞれの成長を振り返り、ファンには感慨深いところ。とくに、ファッションを語るえりかは魅力的でした。はっきりしゃべっても嫌われないのが彼女の人徳です。しかし、いつきに「何でボクって言うの?」……って、日本語前提ですか。ちと違和感ですが、アニメで言語に深く突っ込んではいけないかなあ。


悪役のサラマンダー男爵も、ただの悪いやつではなく、味のあるキャラになってましたね。最後の火竜変身は、サラマンダーという名前そのものが伏線でグッド。デザトリアンとの戦闘シーンも迫力でしたが、パリの真ん中で派手に戦っていて、狼男よりもそっちの方がよっぽどニュースになりそうでしたよ。


ラスト、みんなのこころの花の力をあわせて戦うプリキュア! 感動的なシーンではありますが、そもそもフランスの皆さんは、プリキュアが戦っているということを認識していないはずであり、ストーリー上の整合性がやや怪しい感は否めないところであります。まあ、劇場のちびっ子達が応援すれば良いのでしょうが、秘密なはずの妖精たちがカメラでアピールはまずいだろうと気になってしょうがありませんでした。


むしろ一番感動だったのは、最期にパリの街が花に包まれるところでしたね。最初につぼみが「パリは花で一杯のはず」と言っていたのが、綺麗に生きてくるとは。参りました。深く観れば、あれはプリキュアたちだけでなく、憎しみばかりではない、男爵の心のカケラでもあったのではないかと、そんな気がします。