CLANNAD AFTER STORY 第12話「突然の出来事」

盛りだくさん詰め込まれた回でした。朋也への転職の勧めで始まり、芳野さんのエピソードが挟み込まれ、朋也の希望が父親の逮捕で崩れてしまう急転直下から、渚へのプロポーズ。サブタイは多分父親が捕まったことを指しているのでしょうが、転職の話にしても、プロポーズにしても「突然」と言えるような勢いであり、もしかしたら全部含めてのタイトルなのかもしれません。プロポーズのシーンを下手に飾らない、むしろ泥臭く描くようなところがCLANNADの持ち味ですねえ。京アニもそこを分かってらっしゃいます。


さて、密度が濃いのでどこを語って良いのか難しいのですが、やはり時間的にも中核となるのは芳野さんの物語でしょう。欲を言えば、ここだけ独立して一つの回にした方がまとまりが良かったのではないかとも思えるのですが、そこはしかたありませんか。


ただ自分の歌いたいまま、がむしゃらに歌い続け、気づけばスターになっていて、人々の願いを背負ってしまっていた。それに気づいたとたん、歌えなくなった。その語りが重いです。これは単に一キャラのエピソードと言うにとどまらず、KEYの麻枝さんの経験が込められているのではないかと思えてなりません。芳野さんが再びめぐり合った「大事なもの」は公子さんだったわけですが、さて、だとすると麻枝さんにとってはなんだったのだろうか、と、ふと思ったりもいたします。


人に歴史あり。美少女ゲームのマルチシナリオ形式は各ヒロインごとのドラマをそれぞれ語ることで世界に奥深さを持たせましたが、CLANNADのすごい点は、さらに多数のキャラにそれを広げたことではないでしょうか。この2期でも描かれた春原兄妹や美佐枝さんや有紀寧に、今回の芳野さんに。みながそれぞれの人生を生きているということが伝わってくるようです。だから重厚で、かつ厳しくも温かいんでしょうねえ。


CLANNAD AFTER STORYも折り返し点となりました。とは言え、アフターに入ってからはまだまだ序盤ですし、今後も長く楽しめると思うとありがたくも待ち遠しいです。と言うか、今回今年最後なんですか? 残念……。