CLANNAD 第9話「夢の最後まで」

……弱りました。何を書いても凡庸で意味の薄いものになってしまいそうです。こんな回の後では。


予想通りに素晴らしかった。


これが一番的確な言葉でしょうか。あえて予想以上とは言いません。しかし、原作の中でも屈指の出来栄えである風子シナリオを見事に描いてくれました。気が早すぎる話ですが、もうこれでCLANNADをアニメ化した価値は十分とさえ言えるかもしれません。


学校で過ごす一夜。最後の楽しいひと時は、挿入歌が効果十分でした。普通挿入歌が流れるときというのは、盛り上がる場面だったり、あるいは感動する場面だったり、ハイテンションな場面だったりするものですが、ここはどれとも少し違う使い方。楽しいようなしんみりとするような、「泣き笑い」の不思議な感覚でした。初めて聴いた歌なのですが、原作関連のCDで出てたのでしょうかね。


風子が朋也と渚を結び付けようとする展開はオリジナルっぽく。互いに「渚」「朋也君」と呼ぶ二人の姿と、それを見守る風子の表情が良かったですね。もっとも、目が覚めたら元通りでしたが。思った以上にあっさりとした描写で風子のことを忘れてしまった二人。しかしそれを思い出すきっかけになったのは幸村先生。一気に存在感を見せてくれました。


そして結婚式当日。校舎の外へと向かう朋也たちの前に集った生徒達の姿。分かっていても泣けます……。音楽も――原作曲にこだわる分時々つながりが悪いようにも感じられるのですが――畳み掛けてくれました。「空に光る」「願いが叶う場所」に続いて、まさかここで「Ana」まで持ってくるとは、やってくれます、京アニスタッフ。見事でした。


ラストも綺麗な締めかたで、みんなが声をそろえて「ヒトデ」というのが藤林姉妹まで入っていて嬉しい。「原作尊重」といわれる京アニですが、夜の学校に渚も一緒に行ったこととか、公子さんの服がちゃんとドレスになっていたこととか、実はちゃんと原作をパワーアップさせてくれている、その辺は素直にありがたいと思いますね。



風子編、あらためて素晴らしい出来のラストでした。