ef - a tale of memories. 第3話「paradox」

AパートとBパートで異なるキャラの物語を見せてくれている今作ですが、どちらが先、という決まりはないようで、今回は千尋と蓮治のシーンが先でした。もっともこれは前回の怒涛の引き(まさに「怒涛」という言葉がぴったりに思われます)からすれば当然の流れとも言えましょう。「記憶が13時間しかもたない」ことを告白した千尋。記憶を持たない彼女の、人生そのものともいえる日記帳につづっていく様子がひたすら切ないです。


「大切なことは思い返すんです。何回も、何回も。そうすればその時から、さらに13時間覚えていられるんです」


前回の感想で書いた「覚えている自分を覚えていれば良いんじゃないの?」という疑問も、千尋本人の口からきっちり説明されて解消。こういう細やかな仕事ぶりでますます今作の評価も上がります。多分、いくら覚えていられるといっても、それは記憶のあやふやなコピーで、きっとぼんやりとした印象だけになってしまうのでしょう。どうしても実感は出来ませんが、悲しさは伝わります。


話し変わってBパート。こちらはみやこと紘のやり取りが軽快で楽しいです。景とみやこが仲悪くなっていきそうで、三角関係的な話になるんでしょうが、まあ、今はまだ気楽に。ヒロインとして千尋インパクトが強すぎでかすんでいる感はありますけどね。


今回は、前回ほどまでの演出過剰感が(これでも)薄れ、それにより霧が晴れるように彼ら彼女らが住む音羽の街の実感があらわれてきました。震災で崩れ、ヨーロッパ風に復興したという美しい街。紘とみやこが行った喫茶店なんて本当に行きたくなるくらいシャレてましたね。そして街の風景のみならず、キャラクター達の織り成す物語も軌道に乗ってきた様子。今後も期待大です。


最後になりますが、前回エンディングとして流れた映像がやはりオープニングということで。これまた異彩を放つスタイリッシュな作りでした。歌も日本語じゃないですしぃ。ただ、女の子達と鎖が重なったり、影がバラバラの丸になって散らばっていったりするイメージは、ちょっとぞっとしません。これは意図的なものでしょうか? ゲーム版の曲から変わってしまったのは残念ですが、BGMでインストが使われているので我慢。これ、出て来る英文を解読している方もきっといらっしゃるんでしょうねえ。僕にはそこまでの気合がありませんです。