N・H・Kにようこそ! 第13話「天国にようこそ!」

すっかり状況に流されている佐藤君。「この人と一緒なら、それもありか」と言い出すあたりが末期的です。先輩も先輩で、ほんとに本気で死ぬつもりだったとは思ってませんでしたよ。後輩を巻き込みながら、恋人の言葉であっさり翻意するというのはひどいなあ。でも彼氏の包容力が性格的に合ってそうなのは確かで、存外結婚したら落ち着くのかも。あと、山崎君の言葉が意外なほどまともで穏やかだったのには驚きました。


しかしなんといっても聞き所は岬ちゃんのセリフでしょう。「私が初めて見つけた、私よりよっぽどクズなゴミ人間だもの!」「だから死んじゃダメ、絶対!」 ……いやもう、これはすごい。今まであまり感情を表に出さなかった彼女の本心がほとばしり、感極まった涙とともに、悲壮さと滑稽さが絶妙に交じり合った「名場面」であったように思われました。いや実際、これはなかなかすごいことだと思うのです。


にしても、予想されたことではありましたが、岬ちゃんの自己評価は低いのですねえ。さてどうなりますやら。気づけば物語も折り返し地点。間延びもせず急すぎもしない良い感じのテンポで見せてくれています。死地に踏み込み戻ってくることで、内容的にも折り返し地点でしょうか? これをきっかけに佐藤君の運命は好転に向かうのか、それとも悪化の一途をたどるのか。当初は余り期待していなかった作品ですが、堅実な出来に最後まで見てしまうことになりそうです。