涼宮ハルヒの憂鬱 第8話「孤島症候群(後編)」

いつもながら面白いなあ。はっきり言ってお話自体は特別面白いようなものではないと思うんですよ。お芝居だということ自体、仮に原作を知らなくても割と早く分かると思いますし。しかしそれでも引き込まれる。アニメというのは見せ方しだいで何倍にもグレードアップすることが出来るんだなあとつくづく感じさせられます。今回も色々と凝った演出がありましたが、個人的には窓から差し込む光に豪雨の影が流れているところに感嘆しました。


さてそれで内容ですが、「ハルヒが可愛い!」というのが素直に思ったことだったり。嵐の崖に向かってキョンを引っ張っていくところはいつもの強気なハルヒでしたが、転落してしまい「大丈夫、キョン?」と心配するところは、初めて見られる表情で魅力的でした。ついでに洞窟内の描写にはこの作品が萌えアニメであることをあらためて感じたりもしたのですが、萌えというのはそれだけ狙ってつくっても大抵うまくいかないので、他の基本部分がしっかりしていてこそ引き立つものだと考えるわけです。その点でもこの作品は分かっていらっしゃる。


事件はハルヒの「超人的天才的名推理」で閉幕。「簡単なことだよ、ワトスン君」の笑顔とウインクは反則的でした。でも「気づいたのは俺だがな」のキョンの方がさりげなくすごい気もします。


帰途は上機嫌のハルヒ。しかしそれも「機関」の演出あればこそだったわけで。特殊性を知らぬは本人のみの構図が、この物語をただの「学園SFコメディ」に終わらせない、ちょっと引っかかる後味にしているような気がします。無自覚のうちにご機嫌伺いの接待受けてるようなものですからねえ。一方、キョンの首筋には怪しげなものが。あれは古泉の仕込みなのでしょうか? それともただほくろを見ていただけ? はて、この辺すっかり忘れているようではもう原作読者を名乗れないような気がしてきました(汗)。