西武11連勝でM3、直接対決制し29日にも地元V(日刊スポーツ)

埼玉西武ライオンズ 7-4 福岡ソフトバンクホークス


さすがに決まりでしょう。もし3タテされれば万一もあるかというところでしたが、杞憂でした。秋山素晴らしすぎる。なにより今年の打線は頼もしすぎる。
10年の悲願を果たす時が来たのだ!

「リズと青い鳥」

http://liz-bluebird.com/


瑞々しくて、少し痛くて切ない、少女たちの青春物語。


90分という時間的にも、内容的にも決して大作という感じではなく、中編良作という言葉が当てはまりそうな映画でしたが、心に染み入るような一作でした。


鎧塚みぞれと傘木希美。二人の微妙な距離とそれぞれの歩みを、「リズと青い鳥」という童話と重ね合わせて描くセンスが素敵です。


さらにそれを生かしていたのが、京アニらしい作画力もさることながら、音の良さでしょう。映画館で観るという行為において、自宅のテレビと最も違うのは音響じゃないかと思いますが、最初の登校シーンでの足音と、それに合わせた音楽だけでやられたって感じです。もちろん、一つのクライマックスと言える吹奏楽の演奏シーンでも、劇場のメリットは存分に感じられました。家だとあんな大音量で再生できませんしねえ。


で、物語についてですが、もう余計な口を挟めないような密度でしたので、あらためて語ることもないような気が。でもあえて言えば、二人が「友人同士」であることは間違いなくとも、みぞれにとっての希美と、希美にとってのみぞれは重みが違っていた、ということなんでしょうねえ。それは「大好きのハグ」のところで明確に、そしてみぞれにとっては少々残酷にあらわれてしまっていて。でも、だからといって希美が悪いというものでもなく、二人が喧嘩するわけでもない。みぞれが希美の少し後ろを歩くのも変わらない。ただ、みぞれが少し、希美から離れて羽ばたくことを決めた、そんなお話。良い「ハッピーエンド」でした。



それにしても、なぜスタッフはこの作品に「響け! ユーフォニアム」の名前を冠さなかったのだろう、というのが興味深いところで。最初にこの「リズと青い鳥」のタイトルだけ聞いたときは、まったく別のオリジナルアニメかと思ってましたよ(まあ、それでも山田監督と京アニなら見たでしょうが)。ユーフォの名前を関しておけばより分かりやすくTV版のファンを引き込めたでしょうに。


ただもちろん、制作側だってそんな事は分かっていたことでしょう。それでもあえて外した。あくまで別作品として存在させたかったということと、加えて、ユーフォのTV版を見ていない層にも見てもらいたかったからでしょうか。


考えてみれば、「違う層に見てもらいたい」という思想はキャラデザにもあらわれていますね。どちらかと言うと男性向けの萌え要素が多めだったTV版から、少女小説的な、雰囲気の落ち着いた本作へ。平たくいえば、男性向けのTV版と、女性向け、それもキャラと同年代である少女向けの作品にチェンジした、ということなのでしょう。


興行的にはなかなか大きな賭けであるようにも思われますが、良作なのは間違いないので成功してもらいたいものです。ただまあ、全体的には地味めなお話なので、大ヒットというのは難しい気もしますが……。いや、ほんとに頑張ってほしい。

西武ミラクル逆転サヨナラ 0−8の八回から猛反撃!森逆転サヨナラ二塁打(デイリースポーツ)


埼玉西武ライオンズ 9-8 北海道日本ハムファイターズ


いやあ、すごい試合でした……。8回表が終わって0-8。それも7回8回で7失点ですから、普通に考えれば負けです。普通というか、どう考えても負けです。しかし、そこから2イニングでひっくり返してしまうとは! 興奮の一戦でした。


今年のライオンズ打線は魅力があり、常に「ひょっとしたら」と思わせてくれます。だからこそ見切らずにテレビをつけていたのですが、そこは8点差。「少々追い上げても結局届かないで終わるんだろうなあ」と悲観的だったのも事実です。しかし、今のチームはそんな常識的な予想を超える力と勢いがありました。


最後に決めてくれたのは森友哉。キャッチャーとして、今日の8失点には悔しい思いもあったことでしょうが、それは今後の反省材料として、バットで取り返してくれるのはさすがです。今季は本気で「打てる捕手」の道を歩み始めた22歳。まだまだキャッチングとかリードとかちと怪しいんで、正直確信までは持てないんですが、捕手として大きく育ってほしいものです。

さあ開幕だ!

埼玉西武ライオンズ 11-2 北海道日本ハムファイターズ


ここのところ、とんと野球ネタがご無沙汰でしたが、ファン精神は失ってはおりませんよ。思えばこのオフもいろいろなことがありました。ドラフトは田嶋を外し、FAでは野上を、ポスティングでは牧田を失うことに。しかしまあ、この辺の流出はもうライオンズファンにとっては慣れっこなので、さほどダメージはありません。むしろ人的補償の高木勇人が拾いものっぽいのと、高橋朋己が復活してくれそうなので、穴は埋まるだろうと。そしてルーキーの伊藤翔が活躍してくれればむしろ戦力アップだと。このくらいポジティブにいきたいところです。


とりあえず、開幕戦は快勝。良い滑り出しとなりました。


さて、軽くリーグの戦力分析ですが、今年もパリーグソフトバンクが強い。強いのは間違いありませんが、内川や松田は高齢化。サファテも疲れが出てくるころでしょう。絶対無敵とまでは言えないと見ています。ソフトバンクを追うライバルとなりそうなのは昨年と同じく楽天で、こちらも充実した投手陣を中心に手強そうではありますが、西武が劣っているとも思えません。


オリックスは上位候補とも言われますが、例年下馬評は高いのに転ぶのがこのチームなので……。ロメロ・マレーロのコンビに吉田正の破壊力は怖いのでひょっとしたらとも思いますが、最終的には例年通りと予想。


日本ハムとロッテは今年も難しいでしょう。日本ハムは大谷だけではなく、マーティンも増井も大野も抜きというのは西武以上に痛い流出です。しょうがないので今季は育成シーズン、かと思いきや結構力を入れて外国人選手を連れてきているのが少々不思議ですが、優秀なフロント力がどう発揮されますか。ロッテは、涌井と石川が去年以下ということはないにしても、いかんせん貧打すぎです。


西武の優位はというと、やはり攻撃力。去年の時点でも強力でしたが、今年は最初から山川、外崎、森がそろっているので、うまくハマれば打線だけで勝ち抜けますよ。長年ファンやってますが、これだけ打線にワクワクするシーズンもないです。今年は上位3強がしのぎを削る面白いシーズンが見られるのではないかと期待してます。その中で最後に西武が抜け出せれば良いなと。


ともあれ、今年も野球を楽しめることを感謝しつつ、これから半年を過ごしていく所存ですよ。

結城友奈は勇者である -結城友奈の章- 一気感想

Dlifeで始まった再放送が自動録画されていたのを機に視聴です。そもそもこれまで、Dlifeなるチャンネルが有ることすら知らなかったですが、作品自体は知っておりました。「ゆゆゆ」こと「結城友奈は勇者である」。リアルタイム放送時には多分まるっきりスルーしてたと思います。多分、「勇者である」というタイトルにコミカルなものをイメージしてしまったんでしょう。実際は全然そんなことなかったわけですが。ええと、2014年10月ということはSHIROBAKOと同じ時期ですか。SHIROBAKOってもうそんなに前なのか、と軽くショックを受けます。


1話を見て、おお、これは良作な感じだ、とばかりに毎週待っている気になれず、取り出しましたるはAmazonプライムビデオ。本格的に使用したのは初めてですが、これまでは「PCとかスマホとかじゃないと見るの大変なんでしょ?」という先入観がありました。しかし、PS4のアプリを使用すればTVでも簡単に見られる。しかも、比較の結果Dlifeよりも明らかに画質が良いということで、すっかり感心でしたよ。やるなAmazon。聞くところによるとNetflixはもっと画質が良いとも聞きますが、どうなんでしょうかね。いずれにしてもAmazonプライム会員のコスパの良さは圧倒的ですが。


で、お話です。「讃州中学校勇者部」の面々が世界の危機に本当に変身して戦うことになってしまったよ、というところから、しだいに世界の仕組みが明かされるシリアスな終盤まで。全12話にして中身が濃かったです。しかし、タイトルからはこんなに魔法少女的な話とは想像してなかったですよ。


まず勇者部という物々しい名前は何かと思ったら、実際にはボランティア活動的な部活であったということが冒頭で示されつつ、実はそれは隠れ蓑で本当に勇者となるための人材を集めていたんだよとくる。上手いですね。そして、「神樹様に拝」とか西暦とは違う暦とかで、はっきりとはしないまでも少し不穏な空気を出していくのが良いです。


順調にパワーアップして敵を倒していってというところで、体の不調が出てきたところから一気に不穏な空気に。「大赦」からは治ると知らされつつも、いかにも「これは治らないな」的雰囲気を醸し出していきます。こう言ってはなんですが、風みたいに片目だけならまだしも(とは言え、実際片目が見えなくなったら大変でしょうが)、友奈の味覚とか、樹の声とかは相当にきつい。特に味覚がなくなっては辛いでしょう。


そして明かされる世界の真実。壁の外は人類の敵であるバーテックスたちの領域であり、人類は神樹に「勇者」を捧げることにより生き延びていたのであったと。勇者たちは力を得る代わりに体の感覚を神樹に奪い取られ、いつまでも戦いに明け暮れるだけの日々が待っていると。


この重苦しさと絶望感と言ったら。風が大赦に殴り込みをかけようとしたのも理解できます。というか、むしろそのまま突っ込んでほしかったくらいで。しかし、さらに過激な美森の行動で物語はクライマックスへ急展開。それでも、勇者の活躍により世界の危機は救われ、皆、また笑って過ごせるのでした。めでたしめでたしと。


正直、このままバッドエンド、バッドまでは行かないにしろビターエンドに収まるのかと思っていただけに、最後に一気にハッピーエンドに持ってくる力技には驚きました。嬉しい反面、ご都合主義という言葉がでかけますが、よく考えるとこれは、神樹が美森の反抗に肝を冷やしたということなのではないか、ということで僕の中では納得しております。つまり「まずい、こいつらを怒らせると何をされるか分からん」と恐れた神樹が彼女たちのくびきを解いたのではないかと。身も蓋もない発想ですが、辻褄は合うはず。そう考えれば、いたずらに危機を招いただけに見える美森の軽はずみな行動も、ラストの幸福につながっていたんですなあ。


やっぱり勇者の物語にはハッピーエンドがよく似合うのです。勇者部五箇条! なるべく諦めない!


さて、そんなこんなで存分に楽しませていただきました。全体的な印象としては(散々言われているでしょうが)「ああ、これはまどか後の作品なんだなあ」というもの。まどかを意識というか、影響を受けているのは間違いないんでしょうね。ただ、その上で違いを上げるのならば、彼女たちの絆の強さでしょうか。まどかの場合、割と個々に分散しちゃってましたし。あ、あとキュゥべえがいない(笑)。精霊はいましたが、直接的な悪さはしてませんから。


あえてキュゥべえ的な存在を挙げるのならば大赦ということになるのでしょうが、ここについてはちょっと描写薄かったですね。一応海&温泉旅行をプレゼントしたり、夏凛の転入を認めたりと、最低限の善意はあるようですが、風の言うとおり、システムのことを伝えないで戦わせるのはひどい話と言わざるを得ず。ここは改革してもらわないとですな。


なお、大赦に限らず、大人の存在感の薄いアニメではありました。友奈の両親とか何やってるんだか全然わからない。もっとも、これは狙ってそうしているのでしょう。あくまで中学生女子たちの勇気こそが主題ということで。


原作がタカヒロさん。「アカメが斬る!」好きなんでそういう意味でも波長が合ったかもしれないです。


さて、主人公の話になりますが結城友奈ちゃん。さっき、両親が何をしているかわからないと書きましたが、このネーミングセンスはなかなかです。一見「ゆう」がかぶって下手なように見えますが、韻を踏んでいて呼びやすい。


結局物語を最後に締めたのは勇者の適正値が一番という、彼女の心の強さでした。最初から最後まで良い子でしたねえ、友奈。これが良い子すぎると逆に不自然で嫌味になってしまうものですが、そうならないラインを上手いこと押さえていたような気がしますよ。まあ、一度くらいは一人で落ち込むようなシーンがあっても良かったかなとは思いますが。「おめでとう、そしてありがとう、友奈」です。


さて、これで感想も書けたことですし、次の「鷲尾須美の章」もいってみましょう。幸いそちらもAmazonにあるようですし。それにしても、美森の足とか精霊の数とか記憶とか、上手い伏線だったなあ。うならされましたよ。

震災7年

「まだ7年」か「もう7年」か。


うん、やっぱり「もう7年」ですよね。感覚的には。2011は遠くなりにけり。それでもなお避難生活を強いられている人々がたくさん残っているという事実。誰が悪いとか言うより、自然災害の巨大さを痛感します。それでも、出来るかぎり頑張って復興していかねばならないのでしょうけど。


7年も経ち、被災地以外の地域に住んでいるとどうしても日々の中で忘れがちになってしまいますが、せめてこの日は思い起こしたいもの。こんど東北旅行でもしようかな……。

「ジャンヌ・ダルク―歴史を生き続ける「聖女」」

ジャンヌ・ダルク―歴史を生き続ける「聖女」 (岩波新書)

ジャンヌ・ダルク―歴史を生き続ける「聖女」 (岩波新書)

Fate/Apocryphaでジャンヌがフィーチャーされていたので、あらためて関心を抱き、勉強用に読みました。筆者は真摯なジャンヌ・ダルク研究者であり、岩波書店らしい真面目な一冊でしたが、読みやすさも兼ね備えている良著です。


僕の知識としてはだいたい一般的な、「“神の啓示”を受けた少女がフランス軍に加わってイギリス軍を追い払ったけれども異端扱いされて火刑になってしまったよ」くらいの少々あやふやなものでしたが、本書でかなり知識がしゃっきりした感がありますね。


一番なるほどと思わされたのが、ジャンヌの生涯については伝説的な霧の中にあるわけではなく、ほとんどの部分はっきりと解っているということです。異端裁判と復権裁判のところできっちりと記録が残されているため、ある意味では同時代の人の中でもトップクラスに判明しているといえるわけですね。無論、その異端裁判は不正とでっち上げに満ちたものであったわけですが……。


本書で紹介されるその記録、特に復権裁判での故郷の村の人々の証言を読むと、ジャンヌが普通の、真面目で信仰心の篤い少女であり、村の人々から愛されていたという様子が伝わってきて、感慨深いです。それだけに、なぜその後にあれほどの事をなしえたのかということがやはり謎として感じられてくるのですが。


ちなみに僕は、何十年もあとの復権裁判なのだから、形式的なものだったのではないかというイメージでいたのですが、上記のように、生前の彼女を知る人々にも話を聞き、優秀な裁判官もつけて本格的にやっていたのですねえ。やはりそれだけ当時の人から見てもジャンヌの裁判がインチキだったということなんでしょう。この裁判の実現にあたって、ジャンヌに助けられたオルレアンの人々が尽力したというのがまた泣かせる話ではありませんか。


さて、本書は実際のところ、彼女の生涯を追うというよりは、彼女が当時から現在までどのようなイメージで語られてきたかということを主題とした一冊です。中には、ジャンヌが誰かの傀儡であったとか、実は生き残っていたとか、さらにはただの農夫の娘ではなく王女だったのだというなかなか荒唐無稽な説まで出てきたとか。筆者は源義経の例と対比していますが、個人的には「シェイクスピア別人説」を連想しましたね。そう言えばシェイクスピアに関しても先日新書を読みましたが、これもFate/Apocrypha関係なので、Fateの勉強させる力はすごいなあ……。


閑話休題。そんなわけで、彼女の本当のところの不思議である、「神の声」とは何だったのだろうかということや、隠れていたシャルル王太子を探し当て、彼の信頼を得たあたりの奇跡的な出来事についての考察は薄いです。その点についてはもっと別の本でも見てみましょうか。