「新世紀エヴァンゲリオン (14) 」

遅ればせながら、とうとう完結の貞本版エヴァです。これも長かったですねえ。アニメ放映とほぼ同時くらいに連載開始したはずですから、ええと、足掛け20年にもなりますか。その間何度あったかわからない休載を経て、本当に完結するのかと疑いましたが、無事最終回を迎えてくれました。良かった良かった。


ラストはどういう方向性に行くのか注目でしたが、基本は旧劇場版をベースに、最後だけオリジナルでしたか。サードインパクトからの復帰後、記憶を無くしつつも、新たな世界で生きていくシンジ。アスカとの「再会」も示されていて、前向きで良い終わり方でした。また、あくまでシンジと、レイ、アスカの二人の少女との関係性の物語という面が強く表現されているようにも感じられました。


もしアニメ版の終わり方もこんなだったら、新劇場版なんてなかったんじゃないかと思えるほどのスッキリ加減でしたね。あと、アニメだといまいちよく分からないままだったユイさんのキャラ性も(巻末のおまけマンガも含めて)、やっぱり基本は優しい人だったんだなと思えたのも良かったです。まあ、ちょっと変な人であったのも間違いないようですが。何しろこちらも飛び飛びに読んでいたので、あまり細かいところまでは覚えていませんが、マンガはアニメの鬱屈さは一味違う、どこか乾いた空気が印象的で魅力でした。


ところで、アマゾンのレビューを見ると、ところどころに見られる減点ポイントは「旧劇場版そのままに過ぎる」「長い時間をかけた割に平凡」といったところでしょうか。たしかに、連載初期の、TV版放映時からのファンの熱狂や社会現象ぶりを今思い起こしてみると、ずいぶんと静かに、ラスト以外はこれといって新しいこともなく終わってしまったなあという感もありますね。ただ、もうこれは時代の流れとしか言い様がないのではないか、という気もします。当時の僕であったら「結局、使徒とか生命の樹とか何だったのか分からない」と不満だったかもしれませんけどねえ。ちょっと寂しいですが、あの頃はもうすっかり昔になってしまったのでしょう(新劇場版はまた別物として)。