雄星第2次覚醒? ついでにボールの速度とキレについて

【西武】雄星、プロ最多142球で自己新14K!9回2安打0封(スポーツ報知)


一日遅れの話題ですが、雄星です。今期はもう見られないかもしれないと半ば諦めかけていましたが、ついに将来のエース候補・菊池雄星が帰ってきた! 今年は開幕から調子が悪く、それでも徐々に徐々に上がってきたと思ったら今度はマメを潰して、なかなかうまくいきませんでしたが、そんなうっぷんを晴らすかのような快投でした(まあ、9回続投の142球はいかがかと思いますが……)。打線? そんなものは忘れました。


2安打無失点もさることながら、なんといっても14奪三振が注目です。実はこれが初の二桁奪三振。去年前半の好調時でも三振はそれほどとれていませんでした。僕としてはその点が不満かつ心配であり、「左腕で150キロ投げてなんで三振が取れないのか」と首をひねっていたのですが、これで一つ壁を超えたのでしょうか。面白いのは、球速はMAX150キロと、雄星にしてはほどほどのところにとどまっていたことです。これはいわゆるひとつの「球速よりもキレ」というやつなのかもしれません。


ところで、この「ストレートのキレ(あるいはノビ)」という用語、僕が野球を見始めた頃はかなり曖昧というか抽象的に語られていたような気がするのですが、最近ではおおむね「ボールの上向き回転数による揚力」という理解で固まってきたようです。だいぶ科学的になりました。


で、それがなんで「球速もキレも」とならず、「球速よりもキレ」という両者が並び立たないような言われ方をされるのか。ちょっと疑問でつらつら考えていたのですが、最近になってようやく分かったような気がします。つまり、ピッチャーがボールに加える力のうち、一部は球速に、一部は回転に割り当てられる。だから、どちらかを増やせばもう片方は減少してしまうのだと。……いまさら何を当たり前のことを、とか言われてしまうかもしれませんが、個人的には結構発見だったのですよ。


そうして理解すると、「藤川は153キロ出ている時よりも、148キロの時のほうが調子が良い」みたいな話も納得できてくるのです。似たような話で「山本昌は138キロのボールが一番威力がある」なんていうのもありました。これもつまり、下手に球速に力を割り振るよりも、回転力に変換したほうが、打者を打ち取れるという話なのでしょう。


さて、現在速球といえば大谷です。言わずと知れたMAX162キロ。しかし、「球速の割には当てられる」と評されるのも事実。ここでもし大谷が5キロくらい回転数に力を割り振って(具体的にどうやったら割り振れるのかは知りません。そう簡単な話でもないんでしょうけど)、キレを増したとしたら……。藤川以上のキレがある157キロストレートが見られるのかもしれません。このまま165キロを目指しても良いですが、キレの方面もちょっと夢を見たくなります。


最後に雄星に話を戻して。とにかくこの好投「たまたま」にせず、続けることです。雄星も言っているとおり、そうすれば勝ちはついてきますから。期待してますよ。