凄さをどう認識すればよいのか良く分からないほど大谷が凄い

大谷、球宴最速162キロ「何とか出た」(日刊スポーツ)


初球で161キロ、2球目に162キロ。その後も160キロをポンポンと投げ込んだ大谷。圧巻の投球でした。日本人にとっては長らく「夢の大台」だった160キロ。ヤクルトの由規が1回161キロを出していますが、これは疑惑の神宮スピードガンによるもので、正直眉唾な部分がありました(もちろん、由規が日本屈指の速球投手であることは揺るぎないのですが)。他にNPBで160キロを出したのは、クルーンやマシソン、イム・チャンヨンといった外国人投手ばかり(イムも神宮でちょっと怪しかったですが……)。その「壁」をこうもあっさり突破するのですからねえ。


あまりに簡単に160キロが出るため逆に現実感が薄れるのか、「スピードガンを盛っている」なんて陰謀論じみた説まで出てきましたが、さすがに甲子園もそんなバカバカしいことはしないでしょう。だいたい、先発で160キロ投げる大谷が、1回限定全力なら162キロ出したってなんの不思議もありませんし(ただし、甲子園のスピードガンがもともと甘めなのは事実でしょうが)。


ここ数ヶ月の大谷は、おそらくNPB史上で最も速い投手です。いわゆる「球のキレ」で言えば昨日の岸の148キロの方が上だったりするのでしょうが、単純なスピードガンの数字は間違いなく別格です。ダルビッシュや田中ですら、1試合に何球か155キロが出れば速い部類でした。それが大谷は、平均球速で156キロを叩き出したりしています。松坂がデビュー戦で衝撃を与えた155キロすら、大谷の平均に及ばない。隔世の感がありますね。大谷と比較されて損していますが、今日投げ合った藤浪も、高卒2年目で平均150キロ近くを記録していることをみるに、本当に新世代の台頭というものを感じさせられます。


とはいえ、昔から言い習わされているように、球速が出れば良いというものではなく、今日の大谷の160キロも結構弾き返されていました。かつて160キロが夢だった頃には、「160キロ出せれば打者は打てない」という幻想があったものですが、夢が現実のものとなったことで、同時に幻想も崩れていくという感覚は不思議なものです。もちろん、打ち返した打者にはさすがプロと感嘆なのですが。


自分は元来「大谷野手派」でしたが、ここまでのピッチングを見せられるとさすがに「野手一本で」とはとても言えません。当面、二刀流を極める方向で頑張ってもらいたいです。ただし、唯一最大の心配は、高卒2年目で剛球を投げる負担による故障。せっかくの二刀流なのですから、10勝したら投手としては思い切って休ませて、残り試合は野手専念という策もありだと思うのですが、栗山監督、どうでしょうか。