WHITE ALBUM2 第6話「祭りの前」

近づいてくる学園祭。そして、近づいていく3人の心。決して尺的に余裕が有るわけではないのでしょうが、取るべきところできっちりと溜めを作っているのは素晴らしいです。


風邪を引いたこともあって、いつもよりもかずさが素直に見えた今回。彼女のバックグラウンドの一端が描写されました。母・冬馬曜子に置いて行かれた時から、どこか張り詰めていたものが切れてしまったというかずさ。もっとも、そんな自分を自嘲的に語れるくらいには、今は落ち着いているとも言えるかもしれません。これを「ただの親子喧嘩」とスッパリ評してしまえる春希は、お説教の才能があるというべきでしょうか?


一方の雪菜はリハーサルに挑むものの、プレッシャーで歌うことが出来ず。意外といえば意外な一面ですが、ミスコンにも消極的だったことからも分かるように、彼女は本質的には内気なんですよね。ただ、外見が華やかだけに周囲が誤解しやすく、また、彼女自身もその期待に合わせてしまうというか。


そんな中、彼女には別の仕事、クラスの出し物である「大正浪漫喫茶」の看板娘という役割も回ってくるのでした。発案した男子は偉いというしか。それにしても、クラスの中での雪菜の立ち位置というのはどんな具合なのか、原作でもさほど描写がなかっただけに、少し気になるところです。もっとも、今回はクラスで彼女が活躍する前に、春希に連れ去られてしまうのですが。


「このままでいてくれれば……。ねえ、学生さん」
「それで春希くん、あらためて聞くけど、どうして私を奪って逃げたの?」


周囲の注目を物ともせず、電車の中で嬉しそうに春希にくっつく雪菜。内気なのは春希の前限定で解除される模様です。しかしアドリブとは思えないこの言葉のセンス。これだけで頭の良さを感じますよ。かずさに服について聞かれた時の、


「これは……ほら、春希くんがどうしてもって」


も茶目っ気が出てます。


そして雪菜にも明かされた、オリジナルの新曲「届かない恋」。その詩に込められた春希の思いを一瞬で察しながらも、無理やり吹っ切るような笑顔を見せる雪菜が健気です。逆に気になるのは、かずさの方は気づいているのかどうかですが……多分気づいてないんでしょうね。あの様子では。


さて、次回はいよいよ本番ステージでしょうか。1話冒頭でも少し描かれましたが、3人の大きな節目となるこのイベントを、堪能したく思います。