バレンティンの偉業につらつら

書くのが遅れてもう旧文になってしまいますが、まずはバレンティン選手、本塁打記録更新おめでとうございます。


王さんが記録を打ち立てたのが1964年ですから、55本時代はまさに50年間続いたことになります。僕が野球を見るようになったずっと前から現在まで、その記録は峻厳とそびえ立ってきました。稀代の強打者であるローズとカブレラが並ぶまではいきましたが、それでも超すことは出来ませんでした。多少敬遠はあったとはいえ、それを言うなら王さんの四球数もすごかったわけで。もうこれを超えることはないのかとさえ思われましたが。


バレンティンのすごいところは、これをあっさり大幅に抜いてしまったところです(今日も58号を放ったそうで)。126試合での記録達成。これまでの「実質最高記録」として、バースの記録した130試合54本という数字がありましたが(王さんは140試合)、それすらも軽く越しました。それも統一球で。


ご存知の通り今年の統一球は去年までよりは飛びやすくなりましたが、それでも従来に比べれば十分に飛びにくいわけです。ローズやカブレラの時はラビットボール全盛時代だったので、個人的には「このボールで抜いてもなあ」と素直に評価しきれない感情もあったのですが、今回は王さんの時代よりも本塁打が少ないシーズンということで、いよいよもって文句のつけようもありません。


正直、あまりに圧倒的すぎて逆に実感がわかない(これは、僕がパ・リーグの試合中心で見ていることもあるでしょうが)ほどですが、このペースだと最終的には63〜65本くらいにはなるでしょうか。三冠王も十分狙えそうです。まさかバレンティンが日本球界史上最強バッターになるとは、予想してなかったなあ。


ただこうなってくると、今のバレンティンがメジャーでどのくらいやれるか見てみたい気がしてきます。昨オフに4年契約を結んだヤクルトフロントは敏腕すぎですが、無責任な他球団ファンとしては、メジャー復帰を期待したいもの。このままだと、「メジャーではダメだったのにレベルの低い日本では成功した」みたいな評価になってしまいそうなのが残念ですし。素直に力を出せればメジャーでも3割30本はいけそうな気はしますが、それを見るのは早くても4年後ということになるのでしょうかねえ。


そういえば、これで55という数字のもつ意味合いが薄れたので、「本塁打記録に追いつき追い越せ」という願いをこめてつけた松井秀喜の背番号55や、その流れを継承したT-岡田や大田らもちょっと複雑な気持ちかもしれません。「60本目指す」というおかわりくんの60番もこのままではピンチなことに……。来年は70番にしますか。