WHITE ALBUM2 プレイ日記 和泉千晶ルート終了

WHITE ALBUM2(「introductory chapter」+「closing chapter」セット版)

WHITE ALBUM2(「introductory chapter」+「closing chapter」セット版)

今回の進行は速かったです。やっぱりシナリオとキャラの魅力の差ですかね。


ぐうたらしつつも人懐っこい悪友、和泉千晶。他のルートでもコメディリリーフ的な役割を果たしてくれていた、プレイヤーからしても「どこかほっと出来る存在」でありました。そんな彼女自身のルートはというと、なんとバッドエンド(というほどバッドでもないですが)経由でトゥルーエンドにたどり着くという2週制。他のヒロインと比べると破格の扱いですね。


まず一周目。雪菜に拒絶された春希を受け入れ、癒した千晶。しかし、その本当の気持もつかめないまま、年が明けての彼女は姿を消してしまうのでした。


そして本筋の二週目。ここで様々なことが明らかになります。小春との出会いの際の話の様子。「長瀬晶子」として雪菜に会った時の様子(もっとも、千晶が雪菜に会ったこと自体は予想の範囲内でしたが)。そして、本当の彼女は女優・瀬之内晶として、演劇のためにキャラ作りをしていたということ。これまでの「和泉千晶」が見せた表情が演技であったというのは、大胆かつ衝撃的な展開でありました。


「事実」から少しばかりのアレンジを加えた演劇シーンは圧巻。千晶の演じる「雪音」は雪菜よりも強くて、好きだという思いを貫いてみせる女性でした。だからあれはもう、雪菜ではなく、千晶だったのでしょうね。


また、基本的にこのルートは他のヒロイン(小春・麻理)後になりやすいということも制作側は予想していたのでしょう。今までは、他ヒロインの話になるとさっぱり出番が無くなっていた小春や麻理もちょっと登場してきたのは嬉しい配慮でした。


そしてまた、出番が増えたといえば雪菜です。これまた、小春・麻理ルートではほとんど脇役程度の立ち位置だった彼女ですが、今ルートではだいぶ存在感を見せていました。今までは春希を中心に武也や依緒から見た雪菜が主に描かれていたわけですが、今回は千晶が分析する雪菜、そして、雪菜自身の思いも割と表に出ていて、見応えがありましたね。


天才女優、瀬之内晶ですら図りかねた雪菜の本心。彼女の優しさは強さからか、それとも弱さからか、その戸惑いはプレイヤーの疑問とも重なります。だからこのルートは、千晶ルートであると同時に、一部は雪菜のお話のプロローグであるとも言えるのではないでしょうか。


大変面白いシナリオでしたが、難点を挙げるとすれば、結局千晶の本性というか、本来の性格がどのへんにあるのか、いまいち分かりにくかったところでしょうか。春希と過ごした千晶としての日々が本当にすべて演技だとするならば、加えて、劇団における瀬之内晶や、雪菜の友人である長瀬晶子も演技の一つだとするならば、本当の彼女はどこにいるのか? それらしき表情を見せるシーンもいくつかはありますが、時間が短いのでよく分からないんですよね。まあ、その分かりにくさが最後まで続くことこそが、実は彼女と本ルートの魅力であるのかもしれませんが。


個人的には、いくら天才でも演技というのはそうそう続くものではないし、春希が見ていた和泉千晶というのはかなりの部分彼女本人に近いのではないか、とそう思ったりもするのですけどね。