Fate/Zero 第16話「栄誉の果て」

冒頭、キャスター討伐の報酬を身勝手にも求めるケイネス。いやどう考えても討伐したのはセイバーでしょ、と思うのですが、監督役である言峰璃正の判定は意外と甘く、ある程度貢献していれば良しということらしいです、まあ、ケイネスが鬱陶しいので適当に追い払おうとしたのかもしれませんが。しかし、哀れにも後ろから撃たれて退場。裏で遠坂とつながっていたとはいえ、特別悪いことはしてないだけに、ちょっとかわいそうではありました。というかケイネスさん、銃みたいなカラクリ道具は嫌いなんじゃなかったでしたっけ?


そんなことはつゆ知らず、一戦に挑むセイバーとランサー。左手を自ら封じるとか、セイバーの考え方は相変わらず純粋なのだかひねくれているのだか分かりませんが、それでも正々堂々の戦いは一服の清涼剤のようでありました。ただ、今回においてはそれすらもまた、皮肉だったのかもしれません。決着をつけたのは切嗣の卑怯かつ残虐な戦術だったのですから……。


セイバーのいうような騎士道精神や英雄の武勇伝こそが、戦場の悲惨をごまかし、その悲劇を拡大してきたと糾弾する切嗣。悲惨な戦場だからこそ、高潔さと正義が求められると訴えるセイバー。どちらも間違いではないような気がしますし、時代の違い、あるいは観点の違いとも言えますが、今作らしい重く陰鬱な問いであり、見応え充分のシーンでした。


誰でしたっけね、第一次世界大戦で、それまでわずかに残っていた戦場での美徳とか栄光とかそういったものが消えてしまったと嘆いたのは。現代の国家総力戦はただただ凄惨な犠牲を生み出すだけになってしまいましたからね……。まあ、切嗣の言っていることとはそれともちょっと違うんでしょうが、そんなことを連想しました。


ああ、それにしてもランサーの悲劇と無念、憎しみはいかばかりか。せめてケイネスとソラウは生かしても良かったのではないかと思わずにはいられません。再契約を防ぐという理屈だとしても、やはり切嗣のやったことは外道と蔑まれてもしょうがないものでしょう。本人がそれを自覚してやっている時点で、批判としては成り立たないのでしょうけど。