「財務諸表を読む技術 わかる技術」

恥ずかしながら、長年株式投資をしながら、財務諸表の読み方は適当でした。着目するところといっても、せいぜい「流動資産が流動負債よりもかなり多ければ大丈夫だろう」程度なもので。まあ、これでも大怪我はしていないのですが、やはりもうちょっと勉強しておいたほうが良いだろうと本書をセレクト。これがなかなかのヒットでした。著者曰く「財務諸表の読み方の説明だったら日本で一番上手と自負している」というだけあって、眼から鱗が何枚か落ちましたよ。


たとえば、貸借対照表について。左に資産の部があって、右に「負債」と「純資産」が載っているあれです。「見慣れてはいるけど結局何なんだろう」的な理解だったのですが、

貸借対照表の右側で「調達」した資金を、左側の資産に換えて「運用」していると考えてください。


の一文に「なるほど!」と感嘆でした(スミマセン、そんなことも分かってなかったんです……)。加えて、自己資本比率は基本的に高いほうが良い(まあ、さすがにこれは分かります)ものの、株主からの期待リターンを考慮し、あえて負債で資金調達する手法もあるとか、一歩進んだ知識もありがたいです。


他にも「一番大事なのは手元流動性」だとか、損益計算書については、「売上原価と製造原価は違う」「大事なのはROEよりROA」といった勘所をビシビシ解説。投資企業の財務諸表を見返したくなる一冊でした。