「グーグルの正体」

Googleの正体 (マイコミ新書)

Googleの正体 (マイコミ新書)

最近、グーグルのプライバシーポリシー変更のお知らせがちょっと話題になっています。グーグルによると、「これまで各サービスにあったポリシーをまとめるもので、新たに情報を収集するものではない」とのことですが、それでも、より詳細に個人情報が把握されるようになることは間違いないでしょう。考えてみれば、検索履歴に加え、GmailYoutubeの視聴傾向等、グーグルが抱えている情報は莫大です。そして、多少不安を感じはしても、それによってグーグルのサービスを止められるような状態ではないという現実。


果たして、これからグーグルとの付き合い方をどう考えていけば良いのか、そんなことを考えながら本書を読みました。


「世界中の情報を整理する」というあくなき使命感と欲求に基づいて突き進むグーグル。無償でのOSやサービスの提供も、結果的にネット人口が増え、グーグルの利益につながるためという分析は、考えてみれば当然ながらも、なるほどと思いました。しかし反面で、ストリートビューサービスではプライバシー侵害を訴えられたりもします。


グーグルの社是である「Don't be evil(邪悪になるな)」というのは有名なフレーズで、実際、僕もグーグルは邪悪ではない(少なくともまだ今は)とは思うのですが、同時に「無邪気だからこそ恐ろしいのではないか」という気もしてきます。


これまで全体主義とか情報の独占とかは国家の専売特許でしたが、今後はグーグル(とかフェイスブックとか)がネットの世界での独裁権力となり、彼らの理想と志向にネットユーザーは付き合わされるしかないのか。多少大げさかもしれませんが、そのような危惧は湧いてきます。グーグルがその気になったら、政治家とか簡単に脅迫できるんじゃないか、とか思っちゃいますね(それこそ「邪悪」な振る舞いですけど)。