ラストエグザイル-銀翼のファム- 第14話「Smothered mate」

前回、エグザイルがグラキエスに向かうという引きから、今回は、すでにエグザイルの力により破壊されたグラキエスという場面で始まりました。こういう省略技法もありだとは思いますが、ちょっと物足りなかったかな。ただ、カルタッファルの仲間とファムたちの再会はほっとしましたよ。カルタッファルも連邦により攻撃されていましたが、徹底的な破壊略奪まではされなかった様子。警告と軍事力削減が主な狙いであって、支配するほどの土地ではないという判断でしょうか。


「空の誇りなんてもんは、幻に過ぎなかったのかもしれない」


ハイネの言葉は、寂しいながらも、現実をついた言葉なのかもしれませんね。


「どうして? あたしたちは空を飛びたいだけなのに……」


……いや、あれだけ略奪やっておいてそれはどうかという気もしますが。


そんな中、ミリアは姉の「暴挙」を目撃したことで、余計責任を背負い込んでしまいます。「リリアーナを討ちます」はトゥラン王族としてやらねばならないという責任感が言わせたものでしょうが、内心ではそんなことをしたくないとも思っている。揺れる心情がよく現れていました。


鬱々とした空気を吹き飛ばそうと、ヴェスパのレースをするファムたち。このシーンは、実際、見ている方も気分が爽快になる好レースでした。上でも書きましたが、旅に出た主人公たちが中盤で一旦平和な故郷に帰ってくるというシチュエーションは良いですねえ。ほのぼのします。


そしてラスト、反ルスキニアへの誘いを受けるミリア。これはヴァサントの企てでしょうか? にしても、ミリアの所在が分かっているというのが不思議と言うか、連邦の情報力恐るべしです。


地味にかなり良回だったような気がします。これで作画がもっときっちりしてればなお良かったんですけどね。



追記:「妄想詩人の手記」さんの記事にうならされたので引用です。

戦争だとか、祖国滅亡だとか、そうした常人には想像もつかない労苦の真っただ中にある彼女たちは、しばしば自分の背負っている責任の重さを前にして、それまで抱えていた自分らしい表情を捨てて、為政者や軍人や傍観者としての仮面をかぶりそうになってしまう。けれどそのたびに、ファムが拙い言葉と乱暴な行動力でもって、鬱屈とした空気をぶち破り、人間的な感情へと回帰するよう呼びかける。


まさに、今回はファムがミリアに「王女としての仮面」をかぶらせなかった回だったのだなあと気付かされました。


下手をすると、ミリアがますます立場に意固地になってしまって、本人も周囲も不幸になってしまいそうなところでしたが、ファムの明るさと強さが1話にしてそれを防いでくれた。だから見ていて、ほっとした心地になれたのでしょう。