「共感する女脳、システム化する男脳」

共感する女脳、システム化する男脳

共感する女脳、システム化する男脳

個人的で大雑把な感覚ですが、男女の脳の差については、21世紀に入ってから語られることが多くなった気がします。かつては差別につながるとしてタブーがあった(と、本書の著者も書いています)ようですが、それだけ脳科学が進展してきたということなのでしょうね。


で、本書の内容ですが、ほぼタイトルそのままとなっております。女性が優れているのは、他者の感情に共感する能力で、男性が優れているのは、物事のシステム化であると。共感はともかくシステム化というというのは一般的ではない言葉ですが、著者は「システムを理解・構築しようとする衝動」と位置づけています。


大変興味深い内容でしたが、言うまでもなく、これらの差は男女の体格差のように平均的なものであって、絶対的なものではない、ということを著者は繰り返し注意しています。ただ、心の働きは身長などと違って目にすぐ見えるものではないですから、こうした脳科学の知見が広まると、(著者の望みとは裏腹に)受け取った人がステレオタイプに流れかねないのではないか、という懸念も少々感じるところではありました。


さてところで、ここから例によって話がアニメやマンガになるのですが、男性作家が描く女性キャラや、女性作家が描く男性キャラって、同性が描くキャラとは少し雰囲気が違うように感じられますよね。異性へのあこがれが込められているということもありましょうが、やっぱり性差によって理解しにくい部分が反映しているのかな、と思いました。その独特の雰囲気が魅力になることもたくさんあるので、全然悪いものではないんですけど。


「共感」と「システム化」というキーワードで作品鑑賞してみても、色々面白い発見がありそうです。