花咲くいろは 第1話「十六歳、春、まだつぼみ」

まず第一印象。さすが岡田麿里さん、さすがP.A.WORKSだと思いました。並のアニメではかもしだせないリアリティと、人間関係のドラマ。思いがけないことから旅館での住み込み修行となれば「千と千尋の神隠し」を連想しますが、ファンタジー要素が無い分、より直接胸に訴えるものがあります。最後の緒花の涙が見ている方の心にも痛い。ただまあ、これなら実写でも良いんじゃない? という気もしないでもなかったですが。


主人公の緒花は、最初は天然ボケかと思わせておいて、実は結構芯のしっかりした子ですね。ときおり丁寧語が交じるしゃべりが良いです。男性視聴者から見ても可愛いですが、むしろ少女マンガのヒロイン像という感じ。辛い時も負けずにがんばれ、と応援したくなります。


順調に行けばかなりの傑作になるであろうと期待する反面、展開がギスギスと重いので、最後まで見続けられるかどうかが不安点。こういう辛い雰囲気は苦手なもので。


なお、他の感想サイトを拝見すると、「女将の言い分のほうが正しい」という意見も多かったですが、個人的には緒花の考えの方が近かったです。そもそも高校生の、それも初対面の孫にいきなり働けというのはあまりに説明不足で、緒花が納得いかないのも当然でしょう。民子を叩くのが理不尽というのも同感でした。もっとも、民子は民子で、緒花にいきなり「死ね」呼ばわりはあまりにひどい言動でしたけどね。


おそらく「仕事を通じて現実の厳しさを学ぶ」のがテーマの一つなのでしょうが、それだけでなく、「現実を変えてみせる」力強さと明るさが欲しい。それを緒花と今作には期待します。