「ココロコネクト ヒトランダム」

ココロコネクト ヒトランダム (ファミ通文庫)

ココロコネクト ヒトランダム (ファミ通文庫)

部員5人の弱小部、文化研究部の面々の人格が、ある日突然入れ替わり始める、シリアス半分、コメディ半分の物語。なかなか面白かったです。


普通、こうした人格入れ替わりものというと、もっとドタバタコメディ的というか、特に異性になってしまった時の戸惑いとか、そういう展開があったりするものだと思うんですが、本作の場合、その辺は必要最小限にあえて押さえてある感じですね。文研部の5人はなんだかんだ言っても友好度と信頼度が当初から高レベルなので、異常事態にも結構柔軟に対処していきます。


……姫子にしろ唯にしろ、男子トイレに行けるのはすごいよなあ。入れ替わり時間は最高でも2時間程度なら、「替わってるときは我慢すること」みたいな協定が出来そうな気がするんですけどね。


まあそれはともかく、そんな彼ら彼女たちにも少しずつ波風が立ち、それぞれの悩みが書かれていくわけです。ちょっと主人公の太一がかっこよすぎな気もしましたが、丁寧な語り口に好感が持てました。しかし「ふうせんかずら」のやったことは許せませんな。


キャラの魅力は高いので、もうちょっと文章力がこなれればなお良しという一品でありました。