ソ・ラ・ノ・ヲ・ト 第12話「蒼穹ニ響ケ」

終わってしまいましたねえ……。エンディングのスタッフロールが流れ出したところで、ぐっとこみ上げてくるものが。僕は、自分で思っていた以上に、この世界と別れがたくなっていたようです。開始当初はあれに似てるとかこれに似ているとかありましたが、今となっては「ソラノヲト」以外の何物でもなくなってました。


戦争をあえて起こさんとするホプキンス大佐に、命をかけて反逆する1121小隊。欲を言えば、もうちょっとこの「反逆」の重さを描いてほしかった気もしますが(普通に考えれば、隊長は軍法会議で処刑物でしょう……)、クレハの反対論やフィリシアの深刻な表情がきっちり入っていたので、軽くはなってなかったと思います。


「あんた、人に向けて銃を撃てるの?」
「それが正しいことだって信じられれば、やれるかも」


ここのカナタの言葉は、なかなか重いですね。「撃てない」という答えだったら「軍人として覚悟が足りない」と感じたかもしれません。でも、簡単に「撃てる」と答えてほしくもありませんでした。そしてこの言葉。……どうなんでしょうね。人に向けて銃を撃つのが正しいという時は、少なくとも、悲しく辛い時ではないかと思います。……ま、こうはいってもやっぱりカナタにはまだ、そして僕にももちろん、分かっていないのだろうなと思うのですが。


ついに走るタケミカヅチ。最後にちゃんと見せ場がありました。ガシャガシャとしつつも意外とスピーディ&パワフル。何で旧世代の超兵器が辺境で放置されているのかという疑問もありましたが、ホプキンス大佐の言葉からすると単に、直せるとは思っていなかった様子。ノエルが赴任したのは、「ひょっとしたらなんとかなるかも」程度の人事だったのかもしれません。


そして空に響く曲。カナタの奏でるアメイジング・グレイスと朝の空は美しかったです。さすがにそれだけでは軍は止まらなくて、でもその時間のためにリオの到着が間に合った。このあたりの作りは上手かったと思いますね。リオの役割は、ローマ皇帝と政略結婚することだったのですか。これは思った以上に重い。悩むわけです。ただ、皇帝は意外と話の分かる人間だったようで。これはリオ×皇帝がはやるかも? いやまあ、皇帝の顔も分からないわけですが。


最後は、小隊にリオが戻って笑顔でエンド。ただ、さすがにフィリシア隊長にお咎めなしっていうのは納得しにくいものがあります。考えられる線としては、


1・リオの口添えで。
2・ホプキンス大佐こそが独断専行だったと逆に批判された。


あたりでしょうか。でも、説明不足なのは否めないですね。



アニメノチカラ」と銘打って始まった今作。正直、特に新しいものがあったとは思えなかったのですが、全編通した美麗な作画で、「現実とは違うソラノヲトの世界」をしっかり生み出して見せてくれました。ひょっとしたらそれが「アニメの力」ってことなのかもしれませんね。「大作」とか「名作」と呼ぶには少し小粒だったかもしれませんが、キラリと輝く良作だったと思います。


ただ、いかんせん1クールでは短すぎという感もありました。近年の、「まず1クールだけやって、評判が良ければ2期3期」というつくりは、リスク低減には合理的なのかもしれませんが、物語の完成度的にはどうしても犠牲が出ちゃうなあ、という気がするところです。と言いつつも、2期希望しちゃうんですけど。